今回カルテットシリーズをまとめる中で、藍忘機がどのカルテットにも所属しておらず、やはり藍忘機は魏無羨専用か・・・と思っていた。
そして師姉である江厭離も入っておらず、この二人は特別なのかと考えていたところで
以前に藍思追と金凌の考察②で
魏無羨ー藍忘機ー藍思追
江厭離ー金子軒ー金凌
が対であると
藍忘機と江厭離を取りあげていたことを思いだす。
そして音楽本でソナタ形式の
「提示部ー展開部ー再現部」
という説明が目に入り、特にこの
「再現部」というのが藍思追と金凌を表わしているように思えた。
再現部
前に考察③で、藍思追は「笑う」、金凌は「泣く」対比であると説明した。
金凌の「泣く」であるが、さかのぼると陳情令第22話・魔道祖師第69章で、金凌の母親である江厭離の涙がとまらない場面が描かれている。
原作第69章と言えば、百鳳山でのドラマにはない忘羨の目隠し場面が有名だが、一方で江厭離と金子軒二人のエピソードが登場する章でもあるのだ。
陳情令では江厭離が座学に参加しており、早い段階から二人の場面がある。原作での軒離は、二人の婚約解消が第18章で描かれたのみである。
射日の征戦を前にして、蓮根スープをめぐり金子軒からひどく言われた江厭離が泣きじゃくっている。その姿がドラマ第45話・原作第84章で、蓮花塢に向かう舟に乗る前に、金凌が父の形見の剣を抱き大泣きする場面から連想されたのである。
その金凌の場面を確認すべく原作第84章を見てみると、まさにその場面で
「人前にて大声で泣き崩れていた金凌の姿は、当時江厭離が悲しみきわまりおいおいと泣く様子を彷彿とさせた」
と記されていた。
やはり金凌の号泣は、江厭離の涙の再現と考えてもよかろう。
原作において他の場面で江厭離の涙が描かれているのは、江氏惨殺後に三人が再会した時(原作第69章)。
陳情令で主なものとしては、江楓眠と舟上での別れ(第15話)、両親と一族の死を知った時(第16話)、江澄を快復させようと懸命な魏嬰との涙にくれるやりとり(第17話)、清河で魏嬰と三人での再会(第21話原作と同じ)、金子軒の死を知った時(第31話)、金鱗台で魏嬰と再会した時、そして・・・(第32話)である。
対して魏無羨は、師姉にも「あなたは屈託のない笑顔と朗らかな表情で、どんなにつらくても気に留めず、どんな状況でもいつも楽しそうだわ」と江氏祠堂で言われたように、笑顔がトレードマークである(陳情令第24話・原作第24章 羨羨三歳了の場面)。
藍思追も、いつもニッコリとした笑みが印象的であり、魏無羨の笑顔の再現となっているように思われる。
(序奏)ー提示部ー展開部ー再現部ー(コーダ)
という主に3つの部分から構成され、次のようになっている。
提示部の前に穏やかなテンポの序奏が置かれることがあり、再現部のあとコーダがつづくこともある。
- 提示部:相対する2つの主題が提示される。
第1主題:男性的で力強く
第2主題:女性的で優雅である等、相対するのが一般的な特徴である。 - 展開部:提示された主題や動機を変化させ、展開・発展される。作曲家の見せ場でもある。
- 再現部:相対する2つの主題は同じ調性となり、対立が解消される。
- コーダ:曲全体の締めくくりである。
この陳情令・魔道祖師の三人二組をまとめてソナタ形式とすると、
- 提示部:第1主題が魏無羨の笑顔、第2主題は江厭離の涙。
- 展開部:魏無羨と藍忘機、江厭離と金子軒。どう展開するかは各自の解釈に任せます。
- 再現部:藍思追の笑みと金凌が大泣きしつつ剣の道を共にし
- コーダ:魏無羨と藍忘機の忘羨で終わる。
と考えるのはどうだろうか。
ソナタ形式の名前を何にしようかとも考えてみる。
「雲夢のソナタ」・・・なんとなく魏無羨っぽい。雲は藍氏家紋の意味もある。
「蓮花のソナタ」・・・なんとなく江厭離っぽい。金子軒は蓮を植えていたし@陳情令
ならば 藍湛も魏嬰に茎蓮根をあげていたし、原作「魔道祖師」番外編「蓮逢」でも思い出深いし
「雲夢蓮のソナタ」はどうかしらん。
「陳情令・魔道祖師」の主要な親世代・子世代を除いた登場人物は、これら三組のカルテットと、ソナタ形式の三人二組で揃い踏みとなっている。
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