30話最終回感想
薄いグレーベストな衣装だからか、『嵐が丘』のリントンみたいな少年に見えなくもない裴遡。
粛正者(范思淵)は裴遡を怪物にしたくて、二者択一の首輪を裴遡と父親に装着し、裴遡に父親を殺させようとするが……決して押しはしない裴遡。
裴遡は粛正者と配下たちに語りかける。
「極悪人で罪深い仮想敵が必要なだけだ」
「愛する人が無念の死を遂げたからといって、その時生まれていない僕に罪を?」
「無常な運命がもたらす恨みを晴らすために、君たちは虐げる対象が必要なだけ」
「君たちの手は血塗られてるのに、僕を裁く資格はあるのか」
「組織と何が違う」と反論。
動揺した王諾氷(粛正者の世話していた人)が、裴遡に詰め寄ろうとしている。
粛正者は「昭南グループが巨悪の根源」「犠牲も必要なのだ」と主張。
それに対して裴遡は「無辜の者を犠牲にした時考えなかったか?彼らの家族も同じく永遠に憎しみに囚われる」と迫る。
そうなんよね、復讐するには他の者も巻き沿いになりすぎているのよね。
うわ、粛正者の銃弾が裴遡の右胸に!
始まりの場所が終結の場所で、張昭臨の最初の罪。
張昭臨は、20歳時、11月に運転免許を取得し貨物運転手になる予定が、12月の一月で3軒の不動産を入手。12月1日は教師 余斌が港湾で張昭臨と蘇翡たちの似顔絵を残した日付。
未解決の強盗殺人の被害者 振華は、恒安福祉施設の院長だった。院長殺しは張昭臨の犯した最初の殺人。
張昭臨たちが粛正者たちの居場所に辿り着いた。張昭臨は息子の張東瀾を拘束され脅されている。
粛正者は「私はお前を断罪する力を持つのだ。お前のせいで死んだ者と同じ末路を辿らせる」と炎で張昭臨を取り囲ませる。張昭臨、カメラを銃で射貫くとはスゴ腕だな。
扉が爆破された!粛正者たち VS 張昭臨の銃弾戦。
粛正者が裴遡に銃を向け、張昭臨は粛正者に向け、王諾氷は張昭臨に銃をかざす。
「やはり僕が打ち破ろう、バツの悪い均衡を」と范先生の仲間への扱いについて語り始める裴遡。張昭臨が動揺した王諾氷を撃ち、粛正者に撃たれ。
「東瀾を見逃すように」と言う張昭臨に、裴遡は「殺された子供たちも罪はなかった」と。
苗小偉くんが裴遡を助けようとしてくれた! 「宗一さんの敵だ」とは、今まで何宗一くんのために潜伏していたの?苗小偉は「望みあるかぎり生き続けろ」と裴遡に言い残して倒れた。
裴遡は粛正者から父 裴承宇を殺すようボタンを押す事を迫られるが、母の「自由を失えば死を選ぶ」、駱為昭の「俺が信じるのは意志だ」を思い浮かべ、裴遡は「言っただろ、お前たちとは違う」と。
粛正者に撃たれて、裴遡~~~。
ようやく駱為昭が到着し、粛正者を銃で撃つ。「遅くなった」って、遅いよ~。
「怪物はみんな粛正した。僕が最後の一人だ」の裴遡の台詞とその表情が……。
粛正者が手にしている霍蕭の写真に映る少年は肖翰揚? 皮肉なもんだね。
今は亡き張昭臨の携帯に、張東瀾の「父さん、ごめんゲームだったんだ」も……。
日付は12月31日。病室で裴遡がピンピンしてソファに座りコインを眺めている。銃をくらった時点で裴遡の死も覚悟したが、不死身だな。
母のお墓を訪れる裴遡。父親は一応、生きてはいるのかな? 家を売りって2LDKでベランダ付きの新居で、太めの猫も飼うのは、一緒に住むという事ですね?? 裴遡は母親の墓前にコインを置いて「やっと自由になれた」と。
あ、黒衣装な張東瀾くん。知らずに父殺しに加担していたのがやり切れないだろうなぁ。とはいえ「ユートピアは他の家族の死骸の上に成り立って」おり、父親のせいで大勢亡くなっているし、裴遡だって父は意識不明、本人も命を狙われたワケなんだが。友情のお蔭で張東瀾は助かったけれど、その友情を利用されたのがちょっとモヤるポイントかも。
魏藍さんは妹を苦しめた人を殺したと自首するために新州へと戻って来た。杜佳は戻らずの東越のアイスが気に入っている様子。SIDに出頭し、魏藍は「信じている 光は存在すると、一筋の光でも一生をかけ守る価値がある」とモノローグ。
別荘を去る裴遡。
駱為昭と楊曦が面会している。
3年前に楊証鋒(楊曦の父,駱為昭の師父)は、范思淵(粛正者)の匿名の手紙で霍蕭事件を調査、連絡方法は匿名のラジオだった。だが張昭臨(組織の首謀者)に気づかれ地下道で殺される。范思淵から楊曦には「特捜部に内通者がいる」と告げられていたが実際は異なっていた。
楊証鋒は、霍蕭事件の捜査を主導し、状況証拠から霍蕭の罪を断じた事から、范思淵の恨みを買っていた。范思淵が地下道の写真を張昭臨に送っていたという……。こちらもやりきれない……。
「今回乗り越えたことは合格だな」と父親に認められた駱為昭。
新年を祝う陶沢や肖翰揚たち。顔に貼られているのは、なにか負けた罰ゲームか。ここへ来て陶沢と唐凝のキス場面、長くないかと思ったが、これはあれか、主人公たちができない分、頑張ってるのか。
花火の中、白いフードにベージュなコート姿の裴遡。ずっと白系の衣装なのは、気持ちが晴れたことを表しているのかな。駱為昭はまたIDカードを捨てていたのね。裴遡と駱為昭がにらめっこするのがイイね。
ふたりでカウントダウンから新年を一緒に迎える、というのが、大事な存在である証、ですね?
(完)
配給:ソニー・ミュージックソリューションズ
プロデューサー・監修:時墨悠希舞
翻訳:本多由枝
ドラマ完走記
闇にとらわれていた裴遡が、駱為昭たちや母親の思いを受けて、光へと歩き出した物語。
世界文学の名作『赤と黒』『ロリータ』『マクベス』『嵐が丘』『悪霊』『モンテクリスト伯』などが織り込まれていたのがワクワクした~。
そして裴遡役 張新成の耽美なこと! 妖しい雰囲気なんだけれど、彼自身が持つ健康的な要素とあいまって、魅力的な役柄でした。コインロール、映画『ブラック・ショーマン』にて福山雅治のも見かけたけれど、私にはドラマ『光淵』が元祖になっている。
謎解きとしては、わりと証拠はガッチリ残っており、取り調べ室での犯人が語る……というもの。人名がバンバン出てくるので、ブログ記事で記していなければ、誰が誰だか分からくなっただろうなぁとは思われる。
結局、霍蕭が鍵の人物だったのね。肖翰揚が粛正者と結びつかなくて良かったよ。天誅を掲げて粛正者の元に集った被害者家族たちが、神職のような衣装だったのは、十字軍のようにも見え……。正義を掲げて、殺戮を生むという意味もあるんだろうか。
いまひとつよく分かっていないのが、粛正者である范思淵と霍蕭の関係性。愛弟子にしては思い入れが過ぎないか? あと、港湾で消息を絶ったのは、組織側と繋がるためなの?
それと張昭臨(組織)や張昭錦(SID部長)は社会的に出世したのに、ナゼに蘇翡3世代はあんなに底辺だったのかしらん。蘇翡はわりとマドンナ的扱いだったのに。
陶沢さんは実に良い人。小伍にはフラグが立っていたけれど、楊曦との件は哀しいよなぁ。孔衛成もあっさり亡くなっているし、わりと容赦ないこのドラマ。なので銃弾をくらった裴遡のサッドエンドも覚悟したが、そうはならなかったね。
張東瀾の「ゲームだったんだ」も哀しい。父親のした事を思えばあの最期はしょうがないが、友情が絡んでいただけにスッキリとはしない。思えば、張昭臨の子供たちは親に似ず善人だったのはちょっと不思議だね。
哀しいと言えば、楊曦は気の毒でならない。復讐に手を染めなかった裴遡の対照なのかもしれないが、裴遡は元々、父親の事なんてどうでもイイから、ちょっと立場も違うんよね。両親も亡くなり、先輩を殺害し、手を組んだ相手が親の仇だなんて、救いがなさすぎる。そういえば、魏藍など、『陳情令』の登場人物を思い出す名前がちょこちょこ使われているけど、楊曦と藍曦臣、寄せてきてるのか?考えすぎ? あとドラマは原作より年齢を上げているらしく、若者ゆえの短慮さが薄まって見えたのはちょっと残念かも。楊曦は実習生なんだけど、落ち着いて見えてしまうのよね……。
親と言えば、駱為昭のお母さんは味があって良かったね。あまり中国ドラマで見ないタイプのお茶目さんで、良い方向に賑やかしてくれた。
ドラえもんこと、杜佳も生き延びてくれて良かった良かった。彼も復讐を思い留まったひとり。アイスを味わいながら、時々、裴遡と会ってほしいよね。
零度共感者という設定はドラマオリジナルで、人に大きな影響をもたらすのは血という遺伝子か人の意志か、という事が描かれていたが、実際は本人を取り巻く周囲の人間関係の影響が大きいよね。それにしても児童買春は本当に胸くそ悪い、廃絶してほしい。
なぜに放送打ち切りになったのかは、正直あまりよく分からず。
とにかく車の衝突事故が多く、実際、ドラマでもカーアクションが派手だった。最近では珍しいような。
張新成の舞台を、付辛博と楊夏Pが見に来ている動画も流れてきて、ドラマ後にも親交があるのはなんだか嬉しいね。張新成は舞台もするのね。見てみたいな、日本に来ないかな~。
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