今回はまとめとして、カルテットシリーズで取りあげた四組のカルテットの物語が、原作小説「魔道祖師」でどう位置づけられているかを簡単に説明したい。
この「陳情令・魔道祖師」における四組のカルテット解説は、当ブログを立ちあげる動機となった、伝えたいと思ういくつかあるもののひとつであり、思い入れがあるものである。今までにあげた記事の中にもあります。ということで、あとがきなるものも付けてみた。
『魔道祖師』でのカルテットの位置づけ
「魔道祖師」でこれらのカルテットの物語が、おおまかにどのあたりに位置しているかというと次のようになる。「魔道祖師」は本編全113章ある中、義城編は第29章からと全体の4分の1あたりである。
あえて章立ては記さず。もちろん他にも物語は多くある。雲夢蓮ソナタ・清心音編の聶懐桑部分は長くなりすぎるため今回は含まず。マーカーの色はイメージです。
原作小説『魔道祖師』
- “魏無羨死了。大快人心!”
- 魏無羨復活
- 藍思追&藍忘機
- 金凌&江澄
- 魏嬰&藍湛と「鬼腕」謎探しの旅
- 義城編①
- 酒
- 草木・義城編②
- 酒
- 清心音・乱魄抄編①
- 金丹編①
- 清心音・乱魄抄編②
- 藍氏双璧の父母編
- 金丹編②
- 酒
- 観音廟
- 忘羨
魔道祖師・陳情令カルテットのあとがき
ドラマ「陳情令」を見ていて義城編は四人が見事に絡み合い、この義城編が物語の挿話とされているのはかなり贅沢な気がしていた。
独立した短編小説にもできそうだが、そうなると読後はかなりダメージがあり立ち直るのに時間がかかりそうではある・・・。
この物語が「魔道祖師・陳情令」にあえて入れられているのはなんだろう?と考え始めたのがきっかけであったように思う。そしてそのあとの物語につづく清心音や金丹のカルテットを考えると、義城篇が原作の早い段階である第29章から描かれた意味合いを感じたので示してみた。
作者である墨香銅臭さんはあとがきで、暁星塵と薛洋は高校時代に構想し親しんでいたキャラクターと説明されている。作者にとって大事なキャラクターであり、草木編に対する思いも深いのではないかと推察している。
この義城編がなぜ「陳情令」「魔道祖師」に挿入されたかの、私なりの謎解きであり、作者や制作陣へのファンレターでもある。なので読者の数だけ謎の解き方はあり、それが作品の魅力のつきない所なのだろう。
とはいえ、この義城編と金丹編・清心音編との関連は実際はどうなのか、お聞きしてみたいところではある。
なお今回、私は温寧と薛洋を「天使と悪魔」と表現したが、これは私が物語をとらえやすく考えたもので、作者が意図したものではないとは思っている。作者はあとがきで、「薛洋に関する時は邪悪で暗く、対して暁星塵の時は聖なる光に照らされるかのようにして、天使と悪魔の間を行き来していた」と薛洋と暁星塵について述べている。
物語をまた違った角度で楽しむ何かとなれれば嬉しく思う。
『魔道祖師・陳情令』と音楽論
このシリーズではそれぞれの記事後半に、弦楽四重奏やソナタ形式と音楽要素を取り入れている。これは「カルテット」という言葉を、音楽的にもう少し詳しく説明しようとミリヨの『弦楽四重奏』を手にした所、思いのほか「陳情令・魔道祖師」カルテットたちの役割や人物像と酷似していたので紹介してみたものである。
そもそも私のクラシックに関する知識は、好きな音楽家がいて時折オペラやコンサートへ行く程度である。今夏、楽しみにしていた共演コンサートにも行けず・・・。八ヶ岳高原音楽堂が素敵でした。
クラシックの中でも弦楽四重奏は通好みのものであり、各記事の後半部分に関しては、私自身が小学生の時によそゆきのワンピースを着て参加したピアノの発表会を思いだす感があった。
物語を音楽論で解釈するのも面白いかと提示してみた次第である。陳情令・魔道祖師楽団という楽しみ方もあるのではないだろうか。
雑誌「インロックボーイ8」で、魏無羨役・肖戦(シャオ・ジャン)のキャスト紹介に、「幼い頃からヴァイオリンと絵画を習っており」とあり、“第一ヴァイオリンだ”となんだか嬉しかったり。藍曦臣役の劉海寛(リウ・ハイクアン)はピアノもできて、ドラマ「不说谎恋人」の中でショパンの幻想即興曲を弾いているのもステキ。
うさぎ弦楽四重奏団
さいごに、「陳情令・魔道祖師」の重要なモチーフである、ウサギの弦楽四重奏団を紹介して終わりとしたい。
神奈川県のよこはま動物園ズーラシアで弦(つる)うさぎとして演奏活動をされており、
うさぎの四姉妹の弦楽四重奏団である。四姉妹の名前が若草物語なのも乙女♪
いつか聴きに行ったら、またご報告します。
(了)
▼原作者ラジオインタビューで薛洋について
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