26話感想
沈翠喜はいきなり極刑? もはやあの人が帰って来るしかないのでは?? 牢で陳翠喜は魏良弓が彫った人形を撫でている。
任小蘭の母と任福、そうか小蘭母が若いから思い出せなかったけど、あの侍女の母親か。秀山が「母上に最後のお別れをしたい」と言う場面ではホロリとするよ。
曽宝琴は「青き天と黄色い大地が証人よ/青天在上 黄土为鉴」と、沈翠喜の無実を訴える。おぉ、執行人まで嘆願しとる。
旅ガラスみたいな格好をした任雪堂がやっと姿をあらわしたよ。呉巡撫(沈保平)を連れてきたよ。「書経は言う。天は衆生の耳目により見聞きする、と」。
《尚书 泰誓中》
天视自我民视,天听自我民听。
沈翠喜、曽宝琴のどちらに雪堂は駆け寄るのかと緊張が走ったが、さすがに沈翠喜のところへ行ったよ。秀山は曽宝琴の傍へ、察しの良いお子だ。
曹夫人は生まれ変わったら翠喜は良家に嫁ぎ云々と祈っているが、それはブーメラン……。
秀山も初めて会った任雪堂には素っ気ない。言うたれ言うたれ。秀山は叔父の如風の方が親しみを感じているヨ。
そして薔薇風呂につかる沈翠喜と、洗ってあげてる曽宝琴の百合百合場面。もはや任雪堂がおじゃま虫になっている。
7年間について大海原に浮かぶ島々を転々とお花畑なことをおっしゃる任雪堂。もはやとっとと島々へお帰りいただいてもヨイような。そして深く追求もしない女性陣。ここは如風の出番なのではと思っていたら、ぶどう酒持ってやって来た。雪堂と如風が並ぶと、如風の方が世間を知って大人になってるよなぁ。
兄の失踪は如風が一番ワリを食ってるよね。雪堂の失踪中、沈翠喜は魏良弓と出会ったし、曽宝琴も秀山と過ごせたけれど、如風は自分が張飈と関わったばっかりにと自責の念にかられていたし、拷問もされ、母親も自死したワケで。
回想。「未有宮」と記し、せっせと学問にいそしむ幼い沈翠喜。任雪堂よりも年上だったのね。『礼記』かな?
『礼運』のこの段では「聖人があらわれて、麻や絲をつむぎ布や帛を織った」とあるのが興味深いのだ。
『礼記 第九 礼運』
昔者先王未有宫室,冬则尽营窟,夏则居橧巢。
昔先王に宮殿がなかった時には、冬は洞穴に住み、夏には木の上で住んでいた。
(略)
治其麻丝,以为布帛,以养生送死,以事鬼神上帝,皆从其朔。朔亦初也,亦谓今行之然。
回想のつづき。成長した任雪堂は沈翠喜を龍舟競漕に誘ったが断られ、行った先は曽宝琴のあの木登りのところ。この向こうにはあの李照がメラメラしているのを知っている視聴者たちよ……。雪堂と宝琴は前もって約束していた訳ではなかったのか。
ここでも沈翠喜は洞穴のような織室にこもり、曽宝琴はわざわざ木に登ってるのね。
若き雪堂の「私が読む書」は何かと思えば「聊斎志異 巻一」じゃない!「第六章 画壁」とある。
朱が壁画の天女を見つめる内に、絵の中に入りこみ天女と出会い、再び出てくるというお話。最初に見た天女はおさげだったのが、髪を結い上げていたとあり、そういえば若き曽宝琴はおさげだね。
『聊斎志異 巻一 第六章 画壁』
江西孟龙潭,与朱孝廉客都中。偶涉一兰若,殿宇禅舍,俱不甚弘敞,惟一老僧挂褡其中。见客入,肃衣出迓,导与随喜。殿中塑志公像。两壁图绘精妙,人物如生。东壁画散花天女,内一垂髫者,拈花微笑,樱唇欲动,眼波将流。
27話感想
任雪堂は張飈と対決していたの?深手を負い起き上がれるまで3年かかったと。予想に反して女性の影はなかったわ。
曹文彬は無辜の民を投獄した罪で、夫妻で流刑三千里、娘は官妓となった。曹文彬が私腹を肥やしていた罪はどこへ行った。
李照は「朱塗りの楼が建ち、賓客が集い宴となる。そして楼が倒れるを見る」と告げる。この劉氏もたいがいだと思うのだけれど、配下はお咎めなしなのね。ついに、李照まで戯曲を引用するようになったよ。『山河令』第15話で、温客行が英雄大会を見ながら言った台詞でもある。
孔尚任(清代)《桃花扇·续四十出·余韵》
眼看他起朱楼,眼看他宴宾客,眼看他楼塌了
李照はやはり雪堂を殺す計画を立てており、曽宝琴は沈翠喜が屋敷の中に扉を作ってくれたことを恩義に感じていた。「人は生きるため、他人の逃げ道を残す必要がある」ことを伝える。李照の西北への道のりは北京行き?これからお裁きを受けるとか?
丁栄もお咎めなしだったのね。娘ふたりと暮らして笑顔も出るようになっている。
雪堂帰還も、雲呑コンビの失墜も、サクサク進んでいくドラマ。
28話感想
任如風は鳥に「幸せあれ」と教え込んでいる。
書硯が「男なら責任感を持てと教わりました」と任雪堂に言っているが、教わったのは沈翠喜からよね?
規律を重んじる書硯と、自分達を大切にしたい如意とは、思い合っていてもすれ違う。
かつて規律を重んじていた沈翠喜は「人は変わるものです」と答える。
今度は鳥に「君は美しい」を教えようとする如風。如意、女性陣に助言を聞こうよと思っていたら、曽宝琴姐さんのアドバイスはソッチかぃ~~~お嬢様育ちで、見知っているのは行院の女性だからか?質実剛健な商家の女性には逆効果なのでは……。上物の茉莉花粉を林舒芳に勧めている。
「石の人形も火にかざせば温まるのに、なぜ心を開かないのか」と嘆く如風。そして灯籠に花火……。金策に走っている時にコレをされると逆効果よね。
茫然自失の如風に、「嫁がせたのは、一番、苦しかった時に清越坊と任家を支えてくれたからよ」と言う沈翠喜。心ない噂に傷ついている、任如風と如意。「でも人生は自分のもの」と諭す沈翠喜。
29話感想
任如風がそろばんを習い始めた~。任兄弟の指導役は沈翠喜の役目なのね……。
任雪堂が筆をしたためるのは履信堂の前。履信は信用を遵守すること。「古より民は食をもって天となし、衣服を地としてきた/民以食为天衣為地」と書き始める。
離れの扉を見ながら、魏良弓の「長き川の先に大海原が広がってる」の言葉を思い出している沈翠喜。
任雪堂は沈翠喜には子を育てながら任家を守り、自分たち3人は役人になるだと?しかも子を作ろうって、今までいなかったのは避けていたのね?
沈翠喜は魏良弓のお墓に「まだ生まれ変わらないで私を待ってからに」と言う。お馬さん、静かで賢いね。
回想。あの鴛鴦の絵を見ながら「春の息吹は抑えきれず、杏が壁から顔を出した」と詠じる若き曽宝琴。
葉紹翁(宋代)『遊園不値』
应怜屐齿印苍苔,小扣柴扉久不开。
春色满园关不住,一枝红杏出墙来。慈しんでいる苔を私の履が踏んでしまうのを案じたのかもしれない。
そっと柴門を叩いたが扉は久しく開かなかった。
春の景色が庭に満ち閉じ込め得ず、一枝の杏が囲いから顔を出している。
大女将は「職人は究極まで技術を磨き上げると自由に完成を発揮するようになる。感性に頼り錬磨を怠った者は感覚が鈍るとそれでおしまい」。沈翠喜を開花させたのが雪堂でなかったというのが、なんだか溜飲が下がるおもいだ。
沈翠喜がふたりを連れて麺屋へ案内する。十娘(王艷)は『尚食』の孟尚食!そりゃ、麺も美味しいよ。元は杭州の豪商の娘で都から来た男と出会い婚礼を挙げるが、都には妻子がおり、嫁荷目当てだった。食べっぷりが豪快な沈翠喜。
「自立した女になったの。誰にも依存しないそんな自分になりたい」。雪堂が「自由に生きろ」と言うのも、ちょっと前までそれを願っていたのは雪堂なだけに、不思議な味わいよね。
任雪堂が写経しているのも『般若心経』。
女子は家に閉じ込められて育ち、目立てば傷物、頭の固い夫には殴られても耐えるしかない。女子は生を受けると父に従い、夫に従い、最後は子に従い、自立は許されない。
30話感想
沈翠喜は秀山に渡して晴れやかに任家を出る、挿入歌「湖面に散る杏の花~」。
新たな工房は錦渓坊。
講談では「虎牢関に集う十八路諸侯は一触即発の状態…多くが董卓に不満を抱いていた。曹操が詔書と偽った檄文も届き、皆は力を合わせ悪者を排除しようと誓ったのだ」と。ここでの董卓は誰になるんだろ。
弟子に教えて技を世に広めるのは、若き沈翠喜の頃からの思い。ふらふらしているが、沈翠喜の邪魔をしないのは任雪堂の良いところ。
丁栄の娘、丁招娣と丁引娣が弟子となった!巧児が思い出され良き場面だ……。
帳簿の途中で寝てしまった林舒芳の代わりに、計算してあげていた如風。成長しているよ~。
まず字から教わっている新たな弟子たち。
うわ、置き去りにしているぞ。名前もないので沈元と名付けされる。弟子を取るのは良いけれど、子供の駆け込み寺になりそうな気も……。
任福が小蘭の縁組みを勝手に決めてる~。そういう時代なのかとも思ったが、沈翠喜が借金を立て替えたのも返してないのか。七五三叔父は助けにならずここでも足を引っ張っていた。
小蘭、ガンバレ!
(つづく)
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