藍思追と金凌が対比の存在であると、前回「藍思追と金凌②」で述べた。
原作第3章で、莫家荘で礼儀正しく接してくる藍思追を「上品で風采も良く、口元に笑みを浮かべ、喝采に値する将来性のある若手である。教えも良く、誰がこのような後輩を指導したのか」と感心している。
一方ドラマ第33話、金凌は清河でいきなり蹴りかかり、「怒りっぽくやたらと高慢で傍若無人。外叔と父親の短所ばかり似て、母親の長所は全く受け継いでない。厳しくしないと将来が心配だ」と、けちょんけちょんである。
陳情令第36-38話の義城で、家に人がいないか尋ねる時も、
金凌は「誰かいるか」
【喂、有人吗】 だが、
藍思追は「どなたかいますか」
【清問、有人在吗】 と丁寧だ。
手際よく料理を手伝い察しの良い藍思追に対し、ぶつぶつ文句を言いつつも粥を運ぶ金凌、
阿箐の描写についても、金凌は「数多く」、藍思追は「詳しく」観察したと、魏無羨に評されている。
書き連ねると、年上※で優等生な藍思追に対して、なんだか金凌の分が悪いようだが、どちらも嫌みな感じもなくひたむきで健気なところが応援したくなり、なぜか似ている二人である。
※ 藍思追の年齢は魔道祖師:16,7歳、陳情令:21歳。金凌の年齢は魔道祖師:14,5歳、陳情令:16歳になるのだろうか。
そしてこの義城では、藍思追は問霊で薛洋の正体を見破らせ、
金凌は魏無羨の共情を最後まで粘り、若手が初々しくも台頭している。
立場の違いもあり、藍思追は第1話で魏無羨を助け、第40話で夷陵老祖の事でも庇うが、
金凌は親の仇でもある事から激しい怒りをぶつけ、第42話ではついに魏無羨に刃を向ける。
そして第45話。金凌が鬼将軍・温寧を目の当たりにし、憎しみを募らせ剣を向ける。それをとりなす藍思追を突き飛ばした事を、周りから責められ、感情を爆発させた場面。父の形見の剣“歳華”に取りすがり一人号泣する姿は胸に迫るものがあった。
その一方で、この場面で藍思追は仲間に囲まれている。温寧に名を尋ねられ、蝶を取り交わし親交を深め、蓮花塢では二人楽しげに笑って思い出話に花が咲く。一族を失った阿苑が血縁者と巡り会う、対照的な場面であった。
そんな対照的な二人ではあるが、どちらも魏無羨には大切な存在であり、将来の活躍が期待され、次世代を担う明るい未来を感じさせてくれている。
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— The Untamed Official (@NSMG_TheUntamed) 2020年8月24日
-#金凌 と#仙子 は再びトラブルに巻き込まれるでしょう。
-#陳情令 #TheUntamed #TheUntamed1stAnniversary#Trầntìnhlệnh #ปรมาจารย์ลัทธิมาร pic.twitter.com/m0tVi4PfWV
物語の終盤、原作では二人の対照的な場面があり、ここでも取りあげたいのだが、かなり良い場面なので、原作未読でじっくり味わいたい人は、いつか出版されるであろう日本語訳で読む事をお薦めする。
もう読んだよ・構わないよ、という方はそのまま進んで下さい。
陳情令で描かれなかったのは、ドラマは勧善懲悪を際立たせているので、このエピソードを入れると金光瑶がより複雑な人物になってしまうからだろうか。
魔道祖師第110章にて、金凌が霊犬・仙子と初めて出会う、この場面を紹介して、藍思追と金凌シリーズの結びとする。
第50話、藍思追はかつての魏無羨を思い出し、再会に喜びあふれる。この場面は皆よく知っているので省略。
一方、原作第110章。
陳情令第50話では、観音廟で金凌が魏無羨のために、霊犬・仙子を外で待たせた後から、魏無羨を追いかけようとして江澄に止められる前、の場面である。
金凌は門外で待つ仙子の鳴き声を聞いて、突然思い出した。金光瑶が仙子を抱きかかえてきた日のことを。
当時、金凌は金鱗台で他の子と喧嘩して勝ったものの、部屋で暴れ大泣きしていた。金光瑶が様子をうかがいに来たが、花瓶を投げつけ追い返す。
翌日、部屋にこもる金凌。すると部屋の外から仔犬の鳴き声が聞こえ、戸を開けると金光瑶が目のくりくりとした仔犬を抱きあげ、「仔犬を見つけたんだけど、なんて呼べばいいのか分からないんだ。阿凌、名付けてくれないか」と言って笑った。
その事を思い出し、魏無羨・金光瑶・温寧への憎みきれない恨みきれない思いに泣くのである。
そんな金凌に御託を並べるあの姚宗主に対し、金凌は「泣きたいだけなのになんだっていうんだ!」と一喝するのであった。
藍思追は、「笑う」「喜ぶ」「人と共にいる」に対して
金凌は、「泣く」「怒る」「ひとり」という対比になっているのである。
(了)
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