笛の音と琴の調べ

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天地に問う/7話茶摘みの歌,10話王安石 白雲,11話,12話,原作小説学霸必须死-徽州丝绢案始末

中国ドラマ『天地に問う~Under the Microscope~』が、WOWOWにて2024年2月7日(水)より毎週2回放送されていた。原題は《显微镜下的大明之丝绢案/顕微鏡下的大明之絲絹案》。全14話

『慶余年』の張若昀(チャン・ルオユン)主演で、『風起洛陽』などの作者 馬伯庸(マー・ボーヨン)が原作・脚本も手がけ、全14話と短い事もあり視聴開始。滕梓荊な王陽だ~、院長な呉剛だ~と『慶余年』なキャスト揃い。

馬伯庸の原作小説《显微镜下的大明》は、明代な民間の古文書に記された、実在した6つ市井な政治事件を取りあげた物語で、このドラマはその中の《学霸必须死-徽州丝绢案始末》《笔与灰的抉择-婺源龙脉保卫战》だとか。登場人物の設定や結末も変えられているみたいですね。

万暦年間に徽州で暴動が起こり10年続いたが、その起因は数学だったという話。隆慶3年、算術に長けた帅嘉谟は、徽州府で歙县(歙県)のみが毎年8780匹生絹を納めているのに疑念を抱く……と原作小説は始まっていた。

登場人物が地方都市の官職揃いで、顔の見わけもおぼつかなかったが、「3530」の謎解きが気になり見続ける。
数字の不正を正したい帥家黙だが、お上に申立ててもなかなか受理されない辺りのお役所加減が、いずこも同じという感じ。

今回は、中で気になった第7話の茶摘み歌と、第10話の程仁清の漢詩を主に取りあげてみた。

7話の歌

豊宝玉が目覚めた時に、陳小枝が歌っていた茶摘みの歌
日が西の山に落ちる 空は明るい 姉さんは山中で茶摘みだよ あんたが来たら振る舞ってあげる 茶葉を摘み新茶をたてそれを飲む 山を隔てて聴く姉さんの茶摘み歌

挿入歌《采茶歌》杨馥伊
日落西山 啰喂
天明
姐在山中 采茶啰
等你来 做客吆
采新茶 打新茶 喝新茶
隔山听姐唱首采茶歌


テンポ良くシリアスな中にも、結構コミカルで見やすいドラマ。『風起洛陽』よりも地方な話の分、気楽と言えば気楽に鑑賞。
しかしあまり気を抜いて見ていると、おじさまが大勢出てくるので、顔の系統が似ていると、この人どの人だっけと記憶を辿ることもしばしば。

役所にありがちな、訴えてもたらい回しにされ続ける。結局、正しさよりも、関わった人達の利害によって、取りあげられたり却下されたり。
一周まわって、測量好きな劉巡按は帥家黙を応援するけれど、立場としては味方にはなれない。
黄知府たちが耳を傾けるのは、これを機に中央へと返り咲きたいから。

程仁清は、『慶余年』の滕梓荊みたいな立場と言えば立場。
范淵は明らかに敵対している。
確定申告な3月にこのドラマを見ると、うなずけることが多いわ……。

張若昀が出ているドラマは安定しており、計算バカな帥家黙も面白いが、どちらかと言うと范閑のように張若昀が優位に進めていく役柄の方が好みではある。その役回りは今回、程仁清が担当していたね。

8話のみどころ

第8話で敵方の毛知県が方知県に語る場面は良かった。毛知県は身分の低い出身なので、文人である方知県とは異なり、官位がなくなると全てを失ってしまう。だから范家を拠り所とするしかない、というお家事情が切ない。

10話の漢詩

程仁清がボコられて心配したけど、案外、大した事なく、いよいよ慶余年再び!かな。豊宝玉も程仁清の所へ駆けつけ、帥家黙の気持ちを分かっているあたり、生員としては物足りないけど、大切な事はよく分かっている。

程仁清が言う
英英たる白雲 天に在りて浮かぶ。下に根蒂なく旁らに連なし時来たりて道わず 雨と為し難し。ただ無心を以て 最も憐れむ可し」。
王安石と言えば、宋の神宗の時代、改革を推し進め、自らの才を頼みとし周囲の忠告は相容れなかったそうな。
程仁清の身の上のようだが、亡き妻の雲娘にもちなんだのかな。

王安石(宋代)《白云》
英英白云浮在天,下无根蒂旁无连
西风来吹欲消散,落日起望心悠然。
愿回羲和借光景,常使秀色当檐边。
时来不道能为雨,直以无心最可怜

帥家黙と程仁清がそれぞれひとり語りとなっているのが良いよね。
双方とも、相手の話を聞いていないのだけれど、底に大切な人を失った思いを抱えていて、決して互いに理解しているワケではないのに、かえって気持ちが重なり合っているのが伝わり印象的な演出。『慶余年』で言えば、范閑が漢詩を詠じた回に似ている。

11話メモ

程仁清が帥家黙に言う
「懐かしめど得られず、執着すれど得られず、妄念を抱けどまた得られず/ 怀念而不可得,执念而不可得,痴念而不可得」「お互いこの世で何も得られぬ哀れな人間だ」に、
「祖率を求めど得られず」と返すのが愉快。

祖率祖沖之が算出した。南朝の数学家で、祖率はいわゆる円周率ですね。


陳小枝の父が
「生きるも死ぬも全ては天のおぼし召しと言うが、俺たち農民は土地と共に生きてる。天を変えられずとも地なら変わる」と言うのが印象的。

12話のみどころ

処刑場で陳小枝が歌う
「日が西の山に落ちる 空は明るい 姉さんは山中で茶摘みだよ あんたが来たら振る舞ってあげる 山を隔てて聴く 姉さんの茶摘み歌」のは、第7話と同じ。

仁主簿は「万成は雨がよく降り、治水を講じないと農作物にも影響が出る。水利計画は4万3600両。工部の負担・郷神の寄付・8割は税。臨時の堤防税と徭役でまかなう」と話す。

豊宝玉の「唯一の友だ」が、仁主簿の心を打つ。

程仁清が馬に乗ってやって来て投壺の技を披露。
秦興巡撫 右副都御史 李世達殿のおな~り~。
おぉ、偉い人がやって来た!

 

 

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