笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」・「魔道祖師Q」・小説/アニメ「魔道祖師」の感想や考察を綴っているブログです。「愛なんてただそれだけのこと」「宮廷の諍い女」を更新中。⇩カテゴリー選択はスマホでは左にフリックしてください。

温逐流⑤人物像/化丹手は邪道ではないのか,冯茗惊

中国ドラマ『陳情令』の地上波放送が各局で始まりました!

テレQ:2023年6月19日(月)
テレビ大阪:2023年9月1日(金)
TOKYO MX:2023年9月19日(火)
テレビせとうち:2023年9月20日(水)

思えば陳情令が地上波で初めて紹介されたのは、2020年9月のTOKYO MX 情報番組「日曜はカラフル」にて。それから3年後にドラマ放送となったのは感慨深し~。

陳情令・魔道祖師人物像第5弾は、岐山温氏・温逐流(ウェン・ジューリウ/wēn zhú liú)。

温逐流は温晃の護衛で化丹手の遣い手なのは同じだが、『陳情令』とアニメ『魔道祖師』で容貌やキャラがかなり異なっているように見える。
原作小説『魔道祖師』と比べながら、その違いを見ていきたい。

温逐流の容貌は、小説『魔道祖師』の第十一章 絶勇に

二十代くらいに見える男性で、背丈が高く肩幅は広い。表情は淡々として、冷たく重い雰囲気を漂わせている。


魏無羨は江澄に言う。

修為は高そうだけど、見た目がそんなに若くないってことは、容貌を保てるほどの力をつけるのに時間がかかったってことだろう。大器晩成ってやつかな。


アニメ設定集には、

遊侠出身で修為が極めて高く、性格は冷淡で知恩に報いる。

とあり、アニメ温逐流はいかめしく尊大な風貌である。

温逐流@陳情令

陳情令・温逐流の俳優・声優

『陳情令』の俳優は冯茗惊。1987年11月7日生まれ、178cm、B型、北京市出身。
《且听凤鸣》影刀客、《新版神雕侠侣》史孟捷に出演。

ドラマでの温逐流は、無口で表情も変わらずチベスナ顔、細身で淡々とした雰囲気であった。登場は第10話での清河聶氏の不浄世であったが、「はい」とようやく返事したのが第14話という無口ぶりながら、首を振るなどしての意思表示は結構みられていた。

陳情令の声優は常文涛
アニメの中国版は亚捷、日本版は酒井敬幸
ラジオドラマ日本版は小西克幸

さて、ここからはネタばれも含まれるのでご注意を。

温逐流がいなければ……

あの衝撃を受けた雲夢江氏蓮花塢襲撃で、温逐流は非常に重要な人物であった。この戦いで温逐流がいなければ、後々の物語を含めてあれほどの惨劇にはならなかったのではという思いがつきまとう。

特にドラマ版では、温逐流さえ封じ込めれば、なんとか持ちこたえられたのではなかろうか。あの屠戮玄武さえ倒してしまった魏無羨である。虞夫人や江澄と連携できていれば、それは叶ったのではないかと思え、虞夫人と不仲であり紫電に打たれていたことが惜しまれてならない。

陳情令の温逐流の登場は、第10話の不浄世で聶明玦と戦っていた。
印象としては、付き従いはするが温晃や王霊嬌とは合わず、それとなく距離を保ってなんだか「いやいやしょうがなく」護衛していたように思え、ちょっと面白い描写であった。
アニメの温逐流にはそんな躊躇はみられず、どこまでも温氏客卿な様子。

原作小説ではハッキリと

彼は温若寒の命に従って温晃を守っているものの、最初から温晃の人柄をひどく嫌っていた(第十二章 三毒

と描写されており、やっぱりそうだったのねと思った次第。

化丹手はコワイよ

そしてあの恐ろしい化丹手
そんなこととは露知らないドラマ前半で陰鉄を持つ藍忘機が温逐流と対峙していた場面、2周目視聴時には「逃げて~」と思ったものだ。

原作小説では、虞夫人は温逐流が化丹手の遣い手であることは知っていたが、元の本名である趙逐流から温氏に改名したのは蓮花塢で初めて知ったようであった。つまり消息が分からなくなっていたように思われる。しかしあれほど恐ろしい技であるのに化丹手自体は、虞夫人が伝えていたからか江楓民や江澄は知っていたが、それ以外ではあまり人の口にのぼらなかった。
温逐流自体は仙門百家全体では、さほどの人物評ではなかったようだ。

化丹手は邪道ではないのか?

この化丹手で気になっていたのは、「正道は剣や刀を用いること」な陳情令・魔道祖師界で、この化丹手は邪道なのかそうでないのか、である。
邪道とは「人を害すること」。金丹をなきものにして二度と結丹できない体にして、仙師をただの一般人にしてしまうこの技は、仙師を害しはするが、人そのものは害さないギリギリの線なのだろうか? しかし物語では誰もその事を論じる人はいない。

そもそも温逐流は佩刀しているのか?
……と思ったら、ドラマ第10話ではバリバリに剣で聶明玦と戦っていた。
しかし原作小説では、常に武器は「てのひら(掌)」である。佩刀しているかどうかも不明なのだ。

温逐流と温若寒への報恩

化丹手の技は限られた人しか知り得ない、温逐流独特のものとは思われる。温若寒に恩があるのは、そのあたりで保護されたことも大きいのかなと想像したりする。

温逐流の技はオソロシイが、夷陵老祖のように多勢を一気に倒せるシロモノではなく、多勢に無勢で襲われるとひとたまりもない、割と地味と言えば地味な技である。

夷陵老祖の魏無羨でさえ、あれほど強くとも後ろ楯がなければとかく標的となったように、化丹手の温逐流も単独では生き残りにくかったのではなかろうか。
強い人物であっても、徒党を組まないと難しいのが、仙門百家のこの世界なのかもしれない。

保護を受けるという点では、蘭陵金氏に保護された薛洋を思い出すが、薛洋は復讐のみで恩はサッパリであった。

温逐流が恩義のある温若寒に報いようとするあたりは、魏無羨と似てはいるが、彼は悪事に手を染めることも厭わない。

そのために魏無羨が「なぜお前が受けた恩の代償を別の誰かに払わせる!」と言ったのも印象深かった。最初にこの台詞を目にした時は、恩にしろ復讐にしろ、なにがしか代償は付き物なのではとも思ったが、温逐流の場合は本人の選択ではないままに実行しており、ある意味、恩が隠れ蓑になっている事を言っているのだろうか。

魏無羨たちが温晃や温逐流へ報復する場面は、原作小説がもっともえげつなく、実はきちんと読んでいない。ホラー耐性が強い方はご一読を。

そんな緊迫した場面な中、温晃に温逐流を兄にすると言われ、温逐流が「結構です」と端的にお断りしたのはちょっと面白かった。

話はそれるが、化丹手は『天龍八部』での北冥神功に近いように思われる。相手の内力を掃除機のように吸い取り自分の物にしてしまうという技で、段誉が習得していた。


第20話で温逐流が温晃を連れ出す場面で映る扁額は「鴻鵠凌虚」。
鴻鵠と言えば、「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」の鴻鵠の志が有名で、大人物の志。
温逐流がやられる場面で、植木鉢には「厚徳載物」とある。こちらも度量の大きい人間の意。なんだか皮肉なものである。

温逐流と虞夫人

ドラマ陳情令の温逐流で際立つのは、蓮花塢での温氏の祝宴場面だろうか。荷風酒に仕込まれたものに、温逐流は気付いたような素振りではあった。けれど亡き虞夫人を見やってそのまま黙って飲んでいた。魏無羨を見つけて乱葬崗へ連れていく辺りも、何か不審に思っている様子はあるが黙っていた。

虞夫人とは見知った関係であることもうかがえるが、温逐流の中で、虞夫人がどのような存在であったかは各々の想像でしかない。虞夫人から温逐流に関しては、化丹手の遣い手以外にはさほど思い入れもなさそうなため、想像の余地はナシ。

ロマンスには私にはあまり思えないが、眉山で紫蜘蛛の異名をはせていた若く美しい虞紫鳶と、当時、彼女よりは身分も低かったであろう温逐流のサイドストーリーも気になるところ。

ちなみにではあるが、眉山出身の虞夫人が四川語を話す、『陳情令 方言版』というのが騰訊視頻には存在する。なんとなく近い言語圏に住んでいたっぽぃ温逐流が、虞夫人と話す時は同じような訛りで話したら面白いな、などと想像をふくらませてみたりする。

 

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