笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」・「魔道祖師Q」・小説/アニメ「魔道祖師」の感想や考察を綴っているブログです。「君花海棠の紅にあらず」とアニメ「天官賜福」、漢詩で「山河令」もはじめました。

金子軒は陳情令の序盤で不可解だった①人物像,曹煜辰,排行について

ドラマ陳情令をメインに、原作小説魔道祖師、アニメ魔道祖師、魔道祖師Qと様々なメディアミックスを見る中で、浮かんできた登場人物像について感想をまじえて語っていきたい。ラジオドラマはあげていませんが単に手がまわらず未履修だからです。なお、自分の思いをつらつら書いており、視聴済みの方向けです。

まず第一弾でとりあげたいのは蘭陵金氏金子軒
アニメ設定集によると、2月20日生まれ、185cmとある。

金子軒(jīn zǐ xuān)は、「〇〇軒」という日本の町中華の名前のような呼び名だったこともあってか、日本では「かねこけん」と親しまれている。私も彼の名前を打ち込む時はこの呼び名で漢字変換している。中国での子供への名付けにこの【子軒】がトップ10入りしていたので、人気の高い名前のようではある。

さて、なぜそんな金子軒からかと言うと、陳情令を見ていてそのキャラ像の理解に最もワケわからなかったのが金子軒だったからである。

金子軒、許すまじ

陳情令は師姉・江厭離が座学へ来ているために、小説やアニメなどでは中盤から江厭離の前で挙動不審な行動を取っていた金子軒が、物語序盤から妙な行動を取っており、これにかなり混乱させられた。

あとになって考えるとこれは「十代の若者が、意識する相手に取りがちな行動」と微笑ましく取ることができなくもないが、序盤のドラマ金子軒は御曹司ということはわかるものの、貫禄があるために十代の青臭い感じがあまりなかった。しかも婚約者に宿を譲らないばかりか、追い出すというあり得ない行動を取っているので、魏無羨なみにわたしは憤っていた。あんなに部屋あるじゃない!師姉の身体が弱そうに見えていただけにけしからん。そのくせ部屋へ来たり、さっきまでランタン一緒に作ってたのに悪く言うし、なんなのアナタ? 

百歩譲って、婚約している女性と結婚前に同じ屋根の下でなんてと、とち狂ったか、噂になるのを嫌がったかであのような行動に出たのかなぁ?と拡大善意で解釈できないこともないが、このあたりの機微はいまひとつわからない。割と他の方の感想を見ていると、このあたりの金子軒を温かい目で見ているものが多いようである。そうか、理解できるのか……。

おおよそ魏無羨目線でドラマ金子軒を見ていたこともあったとは思うが、私はあまりに序盤の金子軒が理解できないのと、大梵山が二回出てきたのに疑問を抱いて、原作小説に走った。そしてあの描写はドラマオリジナルで、読んだ小説もアニメも実に理解しやすい金子軒で、スッキリしたことを覚えている。


ただ陳情令の序盤の金子軒は、どこか藍忘機の思いの写しでもあると考えると、さほど矛盾はないのではある。このあたりは「藍思追と金凌②剣の道を共にして」「魏無羨の笑顔と江厭離の涙」でも記した通りである。

その後、陳情令5話で藍忘機と魏無羨が同室になっていたり、ドラマ『山河令』で温客行が宿を貸切にしてふたりを受け入れていたのを観る内に、ドラマの宿屋というのはある意味心の中のメタファーなのかと思い至る。藍忘機の心の一室に魏無羨が住みだしたり、温客行の心の中は周子舒でいっぱいとかそういうの。張成嶺は周子舒が大事にしていたから丸ごとOK。そうしてひとり納得していた。

金子軒、王子さまになる

ドラマ序盤ではそんな反感しかなかっただけに、孔雀の羽を広げまくっている量人蛇解説からの百鳳山での公開告白、そして原作にはない顔に泥を付けて蓮を植えている姿には、金子軒への好感度爆上がりであった。なにより師姉が幸せそうなので良かった良かった、という心温まる思いであった。その後の金子軒は師姉を思うがゆえに、魏無羨のことも考え取り持とうとしてくれ、最後まで師姉を思っていたのも良き人であった。しみじみ。

この江厭離ラブな金子軒をギュッと濃縮したのが魔道祖師Q19話「恋する金子軒」、ならぬ「告白」の金子軒である。可愛いのオンパレードであったし、水に潜って暗躍する双傑の姿も愉しい。

思えば金子軒が江厭離に公開告白になっていたのも、原作小説で魏無羨が藍忘機に公開告白していたのと同じなんだな。

あと、金子軒は意外と身分で差別をする言動はしていない。自分に釣り合う女性を求めてはいたが、低階級の女性仙師の心遣いを褒めており(それは女性仙師の便乗で、そのせいで師姉にひどい事を言っていたが)、魏無羨を攻撃する時も、溺愛されていると当てこすりのような事は言うが、金子勲のように「下僕の子」呼ばわりはしていない。そんな所があるからか、ドラマでは金光瑶にも手を差し出している。そのあたりはわきまえているのかな、という印象である。

ドラマでは綿綿を気に入っていたようなので、むしろこちらと恋仲になることはないのかなぁと、初回視聴時はボンヤリ思っていたが、金子軒は女好きな父親と異なっていたし、綿綿も毅然とした仙師だった。なにより原作小説を知ったらそうなるハズもないとわかるのだが……。

金子軒の排行、母・金夫人とについて

陳情令3話の金子軒が江澄から「末の若君/ 末公子」と呼ばれていたのは、金子軒が金氏の同世代男子の中で、最も若い公子だったからだと思われる。

これは中国でよく出てくる「姓+数字藍二とか数字+名称二爷などと、「排行」と呼ばれるもので、同姓同世代(いとこ)の同性でカウントするようだ。姉妹が産んだ子どもは嫁ぎ先の姓になるので含まれない。

なので金子勲は金子軒より年上なのだろう。そうなると、親族に年長の男児がおり夫の女遊びが激しい中で、金夫人に男児が産まれたのは待望の我が子であったことは想像できる。

魔道祖師では父親との葛藤が強い登場人物がよくみられ、母親へは思慕を寄せることが多い。そんな中、金子軒は支配的な母親に反発するという母との葛藤が描かれていたのは珍しく感じたが、金夫人にとっては期待や思い入れもひとしおであろうことがうかがえる。

年齢といえば、いまひとつ彼の年齢の位置づけがわからずのままである。阿瑶呼びしているからには金光瑶よりは同じか年上なのだろうか? 江厭離や魏無羨とはどうなのだろう?

 

窮奇道のあの場面

蘭陵金氏の跡継ぎ公子ランキング3位でとなると、家風もあり傲慢になるのもむべなるかな。けれど上にあげたように、彼には高潔愛情深い面もあるのである。そんな金子軒の面が裏目に出たのが、原作小説の窮奇道でもあった。ドラマは招待状が藍忘機が送り、陰謀があったと改変されており、単に止めているだけである。

あの場面で魏無羨は陥れられ疑心暗鬼になっていたし、心をこめた祝いの品を壊されてもいた。金子軒はその魏無羨に対して先に引くように言う。魏無羨にしてみれば変わらず金子勲率いる部隊は自分たちを狙っており、師姉に言われるならともかく、金氏方の金子軒に言われても従えるものではない。思えば喧嘩してそのままになっていた相手でもある。容易に近づかれては危険なのだ。

けれど今まで金子軒が接してきた人は、金子軒の好意を表面的にではあれ、すんなり受け止める人ばかりであったのだ。自分が人を人と思わない尊大な態度を取った相手でも、人は争うように群がってくる。ずっと許されてきた人なのだ。なにせ金子軒は若様で、接する相手は仙門百家の人しかいないのだから。師姉にふられれば反省したかもしれないが、うまくいっちゃったしなぁ……。そうして近づいてしまった。

考えてもせんないが、魏無羨にとって致命的となった窮奇道だけについなんとかならなかったのかと思ってしまう。

話を金子軒に戻すと、この窮奇道もそうであるし、ドラマでは金光瑶が鬱屈した思いを抱いているなど思いもよらないであろう。そういうどこか懸命で人の良いところを、師姉は愛おしかったのかもしれないし、金凌に受け継がれた面もあるかもしれない。

金子軒の俳優・声優

金子軒役の曹煜辰(ツァオ・ユーチェン)も、金子軒の雰囲気をよく出しておられたと思う。陳情少年などで見てもどこかノーブルな感じがする。
1993年3月15日生まれ、184cm、O型、甘粛蘭州出身、中央戯劇学院表演系卒。『麗王別姫』の風生衣、ディリラバ主演の『幸福觸手可及』にも霍辰东役で出ているそうな。

陳情令・金子軒の声優は、史泽鲲である。
アニメの中国版は谷江山、日本版は赤羽根健治
ラジオドラマの中国版は刘明月、日本版は高橋広樹


なんといってもBlu-ray2巻の特典DVDにも付いてきたスペシャル映像が秀逸。これはドラマ32-35話放送のあとに出たと記憶しているが、これを見た時は泣けた……。夫として父としての思いが伝わってきて良い特典映像である。

陳情令40話で金鱗台で金光瑶夫妻が並び立っているのを見た時に、これが金子軒と江厭離ならばどれだけ晴れがましいことだろうとしんみりしていた。
 師姉大好きな魏無羨ならば、師姉を大事にしている金子軒や、幸せそうな師姉、幼い金凌と遊ぶ内に、金子軒とも多少の小競り合いは残しつつも親しくなっていっただろうことを想像し、物語とは違ったそんなもうひとつの世界をまぶしく思ってみたりする。

 


www.youtube.com

 

 

fuenone2020.hatenablog.com

fuenone2020.hatenablog.com

fuenone2020.hatenablog.com

fuenone2020.hatenablog.com

fuenone2020.hatenablog.com

fuenone2020.hatenablog.com

fuenone2020.hatenablog.com

fuenone2020.hatenablog.com

fuenone2020.hatenablog.com

fuenone2020.hatenablog.com

fuenone2020.hatenablog.com

fuenone2020.hatenablog.com

 

 

外部サイト

 

 

 

 

 

 

 

 

第25話 不協和音

第25話 不協和音

  • シャオ・ジャン(肖 戦)
Amazon