1.薛洋と暁星塵と宋嵐と
常氏一族の惨殺。骸が青ざめ、瞳が変色、首には赤い亀裂の紋様ー死ぬ前に傀儡となった。
陰鉄が反応。屋根の上で薛洋が微笑む。暁星塵(白い衣装)が空から飛来。含光君の登場場面のよう。
「岐山を下りて惨殺し、半月、私を煙に巻き、常氏数十人の命を奪った」と暁星塵が薛洋に剣を向ける。薛洋は「友よ【仙友】、罪なら認めるが罰を受けるかはお前の腕次第」とおたわむれ。逃げだす薛洋。魏無羨が術を繰り出す。
暁星塵と薛洋の剣のやりとり。魏無羨も術でちょぃちょぃ助ける。薛洋の頬を剣がかすめる。魏無羨は薛洋を「お子ちゃま/小朋友」呼ばわり。薛洋は技を「道連れ/同死」と名付け、乾坤袖(けんこんしゅう)で雲隠れ。その隙を狙った薛洋の剣を、宋嵐 字・子琛がはらい首元に剣を突きつける。一瞬でお縄がかかる。
祠堂。暁星塵と宋嵐は知己。「清風明月の暁星塵 霜雪も恐れぬ宋子琛/明月清風暁星塵 傲雪凌霜宋子琛」の呼び名を口にし、お互いに挨拶する真ん中に、つるされた薛洋という、なかなかシュールな構図。特典映像によると「人魚姫」と言われていたとか。小指まで演技していたそうな。橙色の房飾り。「世を救う二方の志は天下に名高い」と江澄。「名門世家の社交辞令はしらじらしくてヘドが出る」とあざ笑う薛洋。「挑発に乗るな」と暁星塵。陰鉄にしらばっくれる薛洋の顔がなぜかカワイイ。
魏嬰は随便を持ってろと、藍湛に預けようとするが無視される。薛洋の身体をあちこち触って陰鉄を探すも見つからず。仙門百家の「面皮の厚さ順位」第一を自認する魏無羨。そんなランキングあったのか。江澄は首を振るが、藍忘機は下を向き肯定しているのか? 薛洋は気に入った様子。この回の魏無羨はどこか美人さん。
隠し場所は「最も危険な場所こそ最も安全だ」と推測する魏無羨。薛洋は自分は夔州のごろつきで、個人的な恨みで常氏を惨殺したと話す。陰鉄は見つからない。
聶懐桑が孟瑶(薄青緑色衣装)と共に駆けつける。藍宗主の密書が清河に届いているとのこと。「聶宗主は義侠心に篤い方なので、公正に判断されるだろう」と、薛洋も連れて行かれることに。
「血縁より志を重んじているので薛洋のことは任せる」と二人。魏嬰が「俺も藍湛も同じ志を持つからー2人組になって夜狩に」【重志同道合。我和藍湛也是因為志同道合。所以才決定一起結伴夜狩的】とのろけると、江澄には「蓮花塢に戻るな」と言われてしまう。
宋嵐は白雪閣に、暁星塵は抱山散人に師事。入門が遅く蔵色散人は師の秘蔵っ子としか知らないと話す。師匠は隠遁し、山を出た弟子は戻れない。薛洋は暁星塵に「俺を忘れるなよ。楽しみにしてろ」と声をかける。去る二人を最後まで見つめる藍忘機。
2.聶明玦と孟瑶と薛洋と
不浄世。射日の音楽。孟瑶が手を挙げると門が開く。この通りはよく見かける横店の通りのような~。温宗主より、大仙門の世家から宗主の血縁の弟子を選び、温氏の訓学に来るようにとのお達しが届いている。
清河聶氏 聶明玦 号 赤鋒尊登場(濃灰色衣装、編込み髪)。「雲夢の2人は英雄だと曦臣に聞いておる」と声をかけられ嬉しそうな二人。
薛洋に刀をつきつける聶明玦を止める魏無羨と孟瑶。孟瑶は「薛洋はまな板の上の鯉/瓮中之鳖」と言う。孟瑶は信頼されていると噂する三人。
孟瑶は総領に声をかけるがあしらわれる。そのやりとりをうかがう薛洋。「妓女の子のくせに/娼妓之子」を口にする総領。
陰鉄を利用するという魏無羨に対して、邪道な考えは起こすでないとたしなめる聶宗主。
孟瑶は宴には出ず薛洋を見張っている。
清河の茶器は玉虫色で独特である。魏嬰は藍湛の部屋の上で酒を飲んでいる。「天地は天幕。天を布団とし地を席とする」【天地一穹庐 以天為被 地為席】。忘羨笛の音楽。「屋根を借りるぞ」に「魏嬰、私は去る/我走了」と言って見つめる。藍湛の部屋の上は安心なのかな。
3.温晃が清河へ、そして孟瑶が……
不浄世門前。温晃が押しかけ陰鉄と薛洋を渡すよう迫る。聶明玦は断り、温逐流(黒衣装)と剣をかわす。
薛洋が逃げたとの声に聶明玦が駆けつけると、孟瑶が総領を刺していた。「私ではない」と言い、温逐流の剣をかばって受ける孟瑶。温旭が姑蘇へ行ったと告げる温晃。
聶宗主に総領が薛洋を逃がそうとしたと訴える孟瑶。音楽。赤鋒尊は自分の命を救ったので、孟瑶に二度と戻ってくるなと命じる。3つのロウソクが映る。
(つづく)
薛洋と暁星塵・宋嵐との因縁、赤鋒尊と孟瑶とのやり取りは原作とほぼ同じだが、シチュエーションが異なっている。
初めて観た時は、惨殺場面でおどろおどろしい印象であったが、一周まわって見た第10話はイロイロ思うところがたくさん。
魏嬰の聞かれてもいないのに、藍湛とのことを話すのは、もはやノロケに聞こえてしまふ……。藍忘機が暁星塵と宋嵐を見つめていたのは、憧れる気持ちがあったのだろうか。そんな暁星塵と宋嵐ふたりの姿を留めておきたくて、第10話の画像にしてみました。
魏嬰が言った「同じ志を持つから」の【志同道合】は中国語の成語で、志と進む道が同じということ。この先のことを思うと、ひとつの布石のような言葉にも感じられ、印象に残った魏無羨の台詞である。
<陳情令用語メモ>
・乾坤袖:「西遊記」の鎮元大師の必殺技に「袖里乾坤」というのがあり、万物を袖の中に入れることができるらしい。乾坤は天地や日月を表わすようで、四次元ポケットのような乾坤袋の袖版か。袖里乾坤は、金庸の「天龍八部」司馬林の必殺技でもあるとか。
・訓学:学校が学生に対して徳性の訓導や教育をおこなう。
・瓮中之鳖:孟瑶が神妙な顔をして「まな板の上の鯉」と言うのがちょっと面白くて、中国語でどう言うのか気になってみたら「カメの中のスッポン」と言っていた。逃げられないものの喩えらしい。が、スッポンになった薛洋だと、かみつかれたら離れない比喩に思えてくる……。
WOWOW放送:2020年3月26日(木)深夜
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★↓ これ以下はこの先の話にも触れています。
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