48話感想・江澄の双傑への思い
観音堂。江澄は魏無羨に「泣きながらひざまずき感謝しようか?」と言い激昂していくが、一番言いたいのは双傑の誓いへの思い。「姑蘇の双璧が何だ。雲夢は双傑」、この言葉を聞いた含光君の顔が「そんな事を言っていたのか?」と言うように見えなくもない……。
江澄は藍二呼ばわり。「なぜ黙っていたか」と問われ、魏無羨は「そんな姿を見たくなかったからだ」と。誓いを再度問われ、「すまない、約束を破った」と言う魏無羨。江澄もまた「すまん」と返す。切ない……。前世ではあるけれど、魏無羨はやっぱり大師兄なんだな。師姉がやっていたように魏嬰は江澄の頬をなで涙をぬぐう。
棺の中と蘇渉
聶懐桑が身を起こす。毒で苦しんでいる僧侶たちに、金光瑶も左手を負傷。棺を開けるとそこには聶明玦の首が継がれた骸があり、先に埋められた物とすり替えられていた。それは思思を救い、碧草と秘密を暴露させた人物の仕業。怒り心頭の金宗主に、魏無羨は「お前を見張るそいつは、この瞬間もどこかでお前の一挙一動をうかかってるかもな」と恐怖心をあおる。
蘇渉のはだけた胸元を見て、含光君が千痕百孔に気付く。金子勲に見下され呪ったのは蘇渉。蘇渉に敬意を示したのは金光瑶だけだった。
魏無羨は「大勢殺した理由がそんなこととは」と空しく笑い始める。蘇涉の理由は、薛洋の理由にも似ている。すると金光瑶は「別の理由で襲撃されたはず」「至る所で敵を作る」「敵に回した者の身に何かが起きれば報復の対象となる」と魏無羨に迫る。
江澄が「妓女の子め」と言うと、矛先は江澄に。「高慢な心に罪悪感がよぎった。だから全ての責任を押しつけられる悪魔を急いで見つけたいのだな?」と言い、「夷陵老祖を厚遇し結束していたら悲劇は起らなかったやも」とも。涙をこぼす魏無羨。
半欠の陰虎符
魏無羨は「妓女の子」に憤った金光瑶に赤鋒尊の死を尋ね、形勢を逆転させる。魏無羨が口笛を吹き始めると、怨念が金光瑶に向かって「孟瑶」と叫び、火事の場面が映る。金光瑶が血を吹きかけると黒い怨念は消えた。魏無羨はこの場にある半欠の陰虎符の力を借りたようだ。
藍曦臣が金光瑶に剣を向け、含光君が蘇渉の右腕を切る。金光瑶は陰虎符を所持しており、不浄世から薛洋と手を組んでいた。陰鉄を持つ薛洋は、暁星塵を救おうと金光瑶と協力し陰虎符を精錬したが、陰虎符の半分の威力しか出せなかった。陰虎符は、玄武洞の剣から作られており回想。
金光瑶は沢蕪君に信じてもらえず、「間違っていた」とひざまずくが、共情で散々金光瑶の所業を見てきた魏無羨は「話はいいからやり合おう」と。金光瑶は「東瀛に渡り戻らないので命だけは助けてください」と訴える。
(つづく)
江澄の思いが切ない……。
初回視聴時に、蘇涉がやたら含光君に絡むのは、含光君自身に対してなのか、魏無羨とつるんでいる関係性に対しての嫉妬なのか疑問に思い続けていたが、前者なのかとハッキリした回。
江澄も蘇涉も秀才ながら、魏無羨や含光君と言う自分のありたい姿を含む天才を前に「劣る」感覚を抱かざるを得ないが、進む方向は異なったふたり。
今回じっくり見直していたら、金光瑶は薛洋が暁星塵を救いたがっている事を知っていたのか。金光瑶が宗主となり表向きは追い出した事になっていたけれど、7年前以降も関係が続いていた事を陳情令は明確にしているのかな。
陳情令吹替版48話感想
冒頭の坐っている魏嬰・藍湛と江澄・立っている金凌の構図は良いな。双傑と金丹をめぐる木村魏無羨と緑川江澄のやり取りはやはり切ない……。吹替版は怒りよりも、緑川江澄の悲しみや無念さが伝わってきて、師兄弟感が強まっていた。ささやくような木村魏無羨の「ごめんな、約束を破った」がもう……。
水に流した方が良いと思う魏無羨と、こだわる事が何かの支えな江澄。それぞれの言い分がもっともで、でも交わることができず、原作だと両思いになった忘羨に圧倒され、魏無羨の本心の描写もあるが、ドラマはそうでないので一層切なさが絡み合う。
棺をめぐる時のそれぞれの表情も克明。蘇渉が礼を取るのを金光瑶が止めるかのようなポーズは、孟瑶と藍曦臣のそれを思い出す。
含光君に「向け」と言われて、案外素直に応じたな蘇涉。金光瑶の「確執などない」「あなた」呼びがじわじわ来る。「自分で制御できない」と緊迫感漂い、魏無羨の涙にたまらない思いになるよ。
ところで魏無羨の腕に巻かれた縄に、オレンジ色の房が付いているのはなにゆえなのだ?縄とオレンジ色と言うと、第10話の薛洋が印象深い。当時は赤の温氏と黄の金氏を混ぜた色なのかと思っていたが、これは薛瑶の持っていた陰鉄の力の印なのかな? 今は半欠の陰虎符になっているが。そういえば今の魏無羨は夷陵老祖(赤)と莫玄羽(黄)でもあるのか。
ドラマと小説・アニメとの違い
原作小説『魔道祖師』第4巻 第21章恨生
アニメ『魔道祖師』完結編
原作では棺の中は毒煙や暗器にすり替えられ何も入っていない。魏無羨が笛を吹いた場面は、原作では呪文で鎮圧陣を破ると一糸まとわぬ邪崇が現われ、この場所で火事があり焼け死んだもの。遊郭での孟瑶と孟瑶の母の回想場面もあり、遊郭の火事は金光瑶の生まれ育った痕跡を消すためだった。
WOWOW字幕版放送:2020年6月11日(木)深夜
WOWOW吹替版放送:2022年9月29日(木)深夜
▼この後のネタばれもあり最後まで見た人向け
▼吹替版第1~12話まで感想
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