43話感想・乱魄抄
「重なり合う心」というタイトルに期待も高まった回。
公式タグは#陳情令雪見酒。
蔵書閣禁室。清心音ではない旋律こそ、「乱魄抄」から抜け落ちていた部分であり、証拠隠滅のために破られたと推理。金光瑶は音律に天賦の才があるとまで言われている。にわかに信じがたい藍宗主。自ら邪曲を試すと言うが、理性が乱れた藍曦臣はどんな感じになるのかちょっと気になる。すごいハイテンションになっていたらどうしよう、見てみたいかも。
藍曦臣から見た金光瑶は、屈辱に耐え衆生を顧み、上を尊び下を哀れんだ姿。確かにそれも彼の一側面ではある。「(自分は)その駒で、手を貸していたと?」と。
藍忘機は叔父上のところへ、藍曦臣は魏無羨を部屋まで送っていく。
藍忘機たちの両親とは
影竹堂。魏無羨は藍湛の戒鞭の痕について尋ねる。乱葬崗包囲の回想。含光君が伏魔殿に金氏仙師たちを入れずに留めており、そこへ来た金光瑶は「さすが含光君は聖人君子だ」と言っている。
激怒した藍啓仁は連れ戻し、戒鞭300回の罰を与え、寒潭洞で面壁させ3年留め置いた。藍氏家規第52条を問われ、藍忘機は「誰が正道で誰が邪道ですか?」と問い返す。ここの空撮ショットも良いのだ。面壁する含光君の前には「誅妖邪~?」の家規。藍曦臣には「知己ならば信じるべきだ」と話していたようだ。
静室にはかつて藍母が住んでおり、藍父とは一緒に暮らしていなかった。父親が若かりし頃に姑蘇の城外で母と出会い一目惚れ、しかし母は恩仇とおぼしき理由で父の恩師を殺す。父は母を雲深不知処に連れ帰り、反対を押し切り祝言を挙げ静室に閉じ込め自らも修行にこもった。
藍啓仁は母が父の一生を台なしにしたと、道を外した者を憎むようになっていた。幼い藍忘機と母の回想。月に一度会っていたのが、ある日「行く必要はない。母はいない」とだけ藍啓仁に知らされる。雪の中に静室の前で坐りこんで待つ幼い藍忘機。
「忘機には執着がある」と告げ、母親と詭道に走った魏無羨に対する心の苦痛と迷いは同じと話す。藍曦臣は蕭を吹き、決意の難しさについても語る。
雪の静室
藍忘機が戻り手には2瓶の天子笑を掲げている。冠を取り髪をおろし、お茶を入れるように天子笑をそそぐ含光君。魏無羨は「ありが…」と言いかけ止める。
かつての窮奇道では2ヶ所から笛の音が聞こえ、不夜天でも聞こえていた。
静室に雪が降っている。ピアノ『忘羨』♪ 笛の真相についても、魏無羨は「ご勝手に好きにすればいい/随便」と答え、「世人は口実を求めているだけ。憤慨できる敵を共有でき、自分を誇れる」と悟っている。
そして心の中で魏嬰は言う「藍湛、お前に捧げる、人生で1人の知己を得れば満足だ」。藍湛「信じるのは心に恥じぬためだ」。魏嬰はそっと「藍湛、すまない、ありがとう」とつぶやく。歌『忘羨』♪
翌朝
香炉がたちのぼる。眠そうな魏嬰。金光瑶がやって来て通行玉令を返す。傀儡が現われ乱葬崗へと逃亡し、二度目の乱葬崗包囲が行われる予定である。帰りしなに「兄上に会いに行きたいですか?」「葬儀を執り行います」と続ける金光瑶。こ、こわい~。
新たな出発
ウサギとたわむれるリンゴちゃん。含光君はウサギを愛で愛で。魏嬰は「明らかに危険が待ち受けているのに、少しも怖くない」と。
雲深不知処の門を出るふたりと引っ張られるリンゴちゃん。たくさんのウサギが見送っている。魏嬰は「地を行く奴、水を泳ぐ奴、空を飛ぶ奴も俺を見ると逃げる」と話す。
『陳情令』♪の笛を吹く魏嬰、リンゴちゃんに乗っている。魏嬰は『忘羨』♪を吹き始める。白と薄紫色の花が映る。「暮渓山の玄武洞で歌ってくれたのは何て曲だ?」「誰が作った?」と尋ねると「私だ」と言うが曲名は答えない。
民家を訪ねるふたり。魏嬰が西瓜を手にとると、家の人達が帰ってきた。夷陵老祖の噂話をしており、女の子が「夷陵老祖は善人をいじめないよ」と言うと、しきりにうなずく夷陵老祖。出てくるように言われて気まずそうな含光君、魏無羨が姿を見せると「魏…」と言いかける女性。「青羊?……綿綿か!」
(つづく)
天子笑を持って微笑む藍湛は、天子笑を持ってニカッとした魏嬰を思い出す。座学では魏無羨が1瓶割ってしまった天子笑を、藍忘機がニッコリと2瓶かざすのが良いのだ。どこに置いていたんだという疑問はあるが、乾坤袖もあるし~。
WOWOW字幕版の時は39話から43話まで一気リアタイしており、「忘機一緒に戦えて良かったね」な思いの一方で、金光瑶の訳わかんなさ(子殺し)に唖然と、魏嬰のいきなり「随便」発言に、追いついていくのに必死な週だった。そして魏嬰の気持ちは案外分かりにくいなぁとも思いながら見ていた。
陳情令吹替版43話感想
「悔悟」は「修行という名の罪ほろぼし」になっていた。「戸を開ける者はいない」という言葉が悲しい……。
雪の中での静かな語らいが沁みる。「随便」は「好きにしてくれ」。「幸い-」「この世にはお前を信じる者がいる」と繋がっていき、「心に恥じなければいい」と重ねて言うのがいいな。
久しぶりのリンゴちゃん~。藍忘機の顔が優しい。木村魏無羨のリンゴちゃんへの「動けよ~」がカワイイ。
そして綿綿、凜々しい!カッコイィ!!
ドラマと小説・アニメとの違い
原作小説『魔道祖師』第3巻 第14章優柔
アニメ『魔道祖師』完結編
原作でも「少しも怖くない」と言う魏嬰に安心したものだった。
藍曦臣が蕭を奏でたのは、原作だとその蕭の音色について描写されており、魏無羨に両親の事を打ち明けたくなった衝動ゆえと思われる。真夜中に音楽を奏でるのは、家規に反してはいる。いつも穏やかな藍曦臣がほのかに見せた思いの片鱗。ドラマでは決意する難しさも語られたので初回視聴時はそれ故なのかと思っていた。
陳情令43話のあれやこれや
WOWOW字幕版で4話リアタイして、夜眠れなくなった40-43話。
そして放送後、取りざたされたのが、第43話で忘羨が重なり合ったのは心なのか、心身共になのかということ。そして話題になったのが、「魏無羨が部屋に入る時にベルトを外している」というものだった。えぇ、私も巻き戻して食い入るように見ましたとも。知人にも聞かれましたとも。でも画面は小さいし微妙に影竹堂の門と重なり、よくワカラン……。
他にも、翌朝魏無羨は眠そうでちょっと気恥ずかしそうだった、や、唇にかさぶたが、とか、香炉がばんばん焚かれていたり、リンゴちゃんに横乗りしていた、などが話題になっていたでしょうか。
こればかりは人によって感じるものが違うし、いかようにも取れるように絶妙に制作されているのだが、私はここで「重なり合ったのは心」派です。
直感的な思いながら、敢えてそう思う理由を挙げると、原作を織り交ぜながらドラマを見ていた事は大きく影響している。
原作でこの場面があり、そこでは描かれなかったというイメージも強いし、そもそも魏嬰は怪我していたのも気になるし、翌朝の眠気などは藍湛のお世話か何かで大変だったのもあるかもしれない。座学再び?横乗りは原作の母親が父親に馬に乗せて貰った場面を勝手に横乗りしたのだと想像していたが、よくよく考えると蔵色散人ならば跨るのかな……。その時は魏嬰の両親の記憶をなぞらえて、魏嬰が藍湛に甘えて乗せてもらったのかもしれないと思ったのだ。他にもあるがこれはこの先のお話なので今回はここまで。
とはいえ、これは後付けの説明であり、“なんとなくそう思った”という直感的な方が先である。「心」派や「心身共に」派、ブロマンス要素もない「どちらでもない」派はそれぞれ“そう思う”のだろう。
ただ、忘羨の関係としてとても大切な夜だったのだろうと感じている。何となくであるが、43話からひろがる思いはその人のBL度が反映されやすいのかな?と思わないでもない。“そう思えてしまう”が浮き彫りとなりやすい面白い回である。
<陳情令用語メモ>
・面壁:壁に向かって座禅すること。
・知己(ちき):出典は「山河令」8話にて解説。
吹替版は今まで各2話放送であったが、43話と44話は1話のみである。なぜにとカレンダーを見ていたら、最終回を合せたか!やるなぁ。
WOWOW字幕版放送:2020年5月28日(木)深夜
WOWOW吹替版放送:2022年9月8日(木)深夜
▼8話-4にて知己の出典について説明。
▼吹替版第1~12話まで感想
外部サイト
|