第9話「惑わしの霧」
舞天女と傀儡
温氏の梟が鳴いている。舞天女祠の扉を破る傀儡たち。魏無羨が呪術で結界を張る。突撃案に反対する聶懐桑は禁言術される。懐桑はこの場面で金の雀の心配をしていたのか……。温情の号笛の音に呼び戻される傀儡。
舞天女の声真似で江澄があらわれる。自分が心配したとは言わず姉上と言う江澄。「俺が藍湛についてきたんだ」と言って藍忘機と顔を見合わせる魏無羨。
外はすっかり明るくなっている。村人を正常に戻すには、陰鉄の封印された梟を始末する必要がある。魏嬰は金糸障で三人を防御して、藍湛とふたりで梟を倒しに行く。
梟と戦う魏嬰と藍湛
霧が立ちこめ姿が見えなくなり、魏嬰は藍湛に呼びかける。梟が作り出した幻音の霧に対し、魏嬰は流光呪で晴らしてやると言い、ふたりが背中合わせで戦う。五識を閉じろと藍湛。梟は鎖攻撃を仕掛け、藍湛の指示で赤裂符をくりだす魏無羨。
聶懐桑は扇子が玄鉄製で心強いと傀儡をはらっている。金糸障が鳥かごのよう。
鎖に捕まる魏無羨、梟が近づいてくると見事に素手で捕らえる。さすがキジ捕りの達人だけはある。知恵や騙しには自信がある魏無羨。梟は霊識で操っており、温晃は失敗する。
大梵山温氏と舞天女
温氏の墓場。温情の一族が並び、老婆が嘆いている。「お見それしたぞ」と懐桑。舞天女の祠は温氏の祠であった。温情の一族は、岐山温氏の傍系で医術を専門とし、岐山を離れ代々大梵山に住んでいたので大梵山温氏と呼ばれる。そんな名前だったのか。
回想場面で温情父はクリーム色の衣装。舞天女に霊識を一部吸われる温寧。
不夜天では、温晃は温若寒に一喝されている。
大梵山中で鶏があらわれ、懐桑と魏嬰、江澄で前後に分かれ捕ろうとする。懐桑の髪を直す姿がカワイイ。
温家の家訓は「恩に報う」で、これでおあいこと話す温情。舞天女に欠けているのは陰鉄と言い当てる魏嬰。首の鎖痕が痛々しい。舞天女は藍湛だけを捕まえようとしたことに、魏無羨は「藍湛に惚れたんだ」と軽口をたたく。告白なんだろか。
100年平穏だったが、20年前埋め込まれていた陰鉄が舞天女を人形に変え、10年前に温若寒が陰鉄を取り出したせいで、人の霊識を吸うようになる。温若寒には育てられた恩があるので手を貸せないと温情は去る。江澄が追いかけるが、温情は温寧を案じて去る。
櫟陽の酒楼にて
櫟陽(れきよう)。魏嬰は常山紅をさっそく試飲し、藍湛の服を引っ張っている。「お前って奴は外では俺と離れちゃダメだな」となんだか亭主のような魏嬰。徳済堂ののぼり旗も立っている。
旗亭酒楼。奇怪な出来事を聞きこむならと、藍湛の腕をひっぱる。ここで出されたお金は五円玉のような銭。町の東南にあるのは仙門・常氏の屋敷。十数人が住んでいたが姿を消し、昼は誰もおらず、夜になると扉を叩く音がすると言う。じきに日暮れである。
藍湛の持つ陰鉄が反応し、様子が急変する藍湛に「精神を集中しろ」と魏嬰が語りかける。聶懐桑は孟瑶を待つとひとり残る。
常氏の屋敷。陰鉄が反応。術で扉を開けると、人がぶらさがっている。骸が青ざめ瞳が変色し首に赤い亀裂の紋様は傀儡である。
(つづく)
このあたりは陳情令オリジナル、常氏のエピソードは原作にあるけれど、現世編で語られただけだったはず。
この霧の中、魏嬰と藍湛が背中あわせに梟と戦う場面は好き。櫟陽で藍湛の服をひっぱるのも良き。また、この頃の魏嬰は、藍湛に対しての絡み方が、なんだかちょっと面はゆくて逐語録してみました。
<陳情令用語メモ>
・梟:日本では「福が来る・苦労しない」と吉祥の意味であるが、中国では悪鳥とされる。
・号笛:合図のために吹く笛。
・金糸障:障=バリアの意味があり、金の糸のバリアといったところか。障子:さえぎるもの
・幻音術:方向感覚を失わせ心を乱し集中できない。思考するほど影響を受ける。
・流光呪:魏無羨の法術。
・五識:仏教用語。五根によって生ずる色・声・香・味・触の五つ。すなわち目・耳・鼻・舌・身の知覚作用。
・赤裂符:道教に赤霊符というのがあり、災邪よけの護符。
・玄鉄:鉄隕石で、硬度が高く打撃に適している。天からもたらされる希少なもの。金庸作品の剣に頻出する。そうならばこの扇は意外と重いのでは? 実は筋トレ?
・常山紅:櫟陽の非常に強い酒。常山酒は常山という生薬のお酒で、抗マラリア薬として用いられる。また常山は恒山の異称でもあり、恒山は山西省にある道教の名山の一つとされる。紅で強い酒というと白酒の茅台酒を連想するが、有名なのは貴州であり少し離れているか。
・徳済堂:中国での医薬に関する商標のようではある。
エンドカード:教化司の忘羨の場面。
WOWOW放送:2020年4月2日(木)深夜
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