笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」・「魔道祖師Q」・小説/アニメ「魔道祖師」の感想や考察を綴っているブログです。「愛なんてただそれだけのこと」「宮廷の諍い女」を更新中。⇩カテゴリー選択はスマホでは左にフリックしてください。

嘯傲東軒/陶淵明 飲酒 其の七㉑陳情令と中国文学

陳情令地上波放送を見て

地上波にてドラマ『陳情令』放送が始まった。全国放送というより、各局それぞれの地方で時期も異なり放映されている。地上波放送だとどんな感じかなと見てみることに。我が家はTOKYO MXです。

最初に魏無羨と藍忘機の凜々しいカットが映るのが嬉しい。
そして流れるOP『陳情令』。最近はネタばれを避けてドラマのOPをすっ飛ばすことが多いながら、『陳情令』はネタばれもあるけれど、この音楽をじっくり聞いてほしいな。……と浸っていたら、途中でぶちっと畳まれてしまった。尺が足りないのかしら。

基本は日本語吹替版の音声に、字幕版の字幕が付く情報量の多い方式。中国語音声が良ければ、音声を切替えれば字幕版にする事はできる。

吹替版と字幕版の台詞は少し異なるので、同時にその違いを味わえる元々の方式で視聴。

途中でCMが入るのがかえって新鮮。時間調整なのか、CMのあとに少し戻って繰り返されることもあるね。そしてこの時間のMX TVは左上に時間表示が付くのよね。録画保存にはちょっとなぁと思わないでもない。

EDも流れるし、エンドカードも付いている。


アニメイトの陳情令パネルときゃらびぃ

アニメイトタイムズで陳情令プロデューサーである楊夏氏のインタビュー記事があり、その紙面版がアニメイトで配布している『きゃらびぃ 2023.9.20 vol.529』に載っているのでアニメイトまで足を運ぶ。毎月20日発行です。

楊夏氏のサイン入り陳情令パネルもあると聞いていたので探すと、3階のエレベーター前辺りにあった。おぉ、サインも入っている。以前の旧館の時はパネルが階段前で撮影もはばかられたが、今回はゆったりと撮影できるし、忘羨と自撮りもできますよ。画像を見るとモブ感満載でしたけれど……。

陳情令パネルを以前のと比べると、同じ写真が使われているが配置が異なっている。以前は左が藍忘機だったが、今回は左に魏無羨が来ており、前よりも忘羨が寄り添っているのですよ♪

8階では『デスノート』の原画展が開催されており、少し並べば入れそうだったが、時間もあまりなかったのでパネルだけ撮影して帰ってきた。美術館並みのチケット代だったので、入ったらかなり広いのかな?

アニメイトタイムズ陳情令P楊夏さんインタビュー


陳情令1話扁額「嘯傲東軒」

さて、『陳情令』の中に中国文学を見いだし紹介しているこの「陳情令と中国文学シリーズ」の第21弾。もちろん公式見解ではなく私が勝手に挙げているだけなのでご了承を。この説がそうだ、というものではなく、ドラマと中国文学を重ねるのが好きなだけのシリーズなのです。

陳情令1話

『陳情令』吹替版第1話を見ていて、復活した魏無羨が騒ぎを起こした時の、莫家の扁額は『嘯傲崬軒』。正確には少し漢字が異なるが、【崬】を【東】と見立てると趣深かったので紹介してみる。

陶淵明(魏晋時代)『飲酒 其七』
秋菊有佳色,裛露掇其英。
泛此憂物,遠我遺世情。
一觞雖独尽,杯尽壺自傾
日入群働息,帰鳥趨林鳴。
嘯傲東軒下,聊復得此生

秋の菊が美しく色づき、露にぬれたその花びらをつむ。
この憂さばらしの酒に菊の花びらを浮かべると、わたしの世俗を捨てる思いがいっそう深まってくるようだ。
盃は一つで独酌でやっているが、飲みほして酒がなくなってくると徳利もひとりでに傾いてきた。
日暮れになるともろもろの物の動きが消えて、鳥も林のなかのねぐらをめざして鳴きながら帰ってゆく。
わたしはといえば東の軒下で口笛を吹いて、今日もまた無事に過ごすことができたとくつろいでいる。
林田愼之助「陶淵明全詩文集」2022 筑摩書房

これは復活後、莫家から酒を拝借した魏無羨が、徳利を傾けて酒を飲み、草笛を吹いて「藍湛」と呟く様子ではないか!

興味深かった箇所を太字にしてみた。
藍忘機の「忘」が出てくると、魏嬰が藍思追の姑蘇藍氏の衣装を見て思い出したのを感じるし、最後の句の「復た此の生を得たり」は、魏無羨にとっては舎身術で蘇るという文字通りの意味なのだ!!

『嘯傲』は、「口笛を吹き、誇り高く自由である。自由で束縛されない事の形容」である。


この陶淵明の『飲酒』は全20首あり、それらを見ているとちょっと『陳情令』と重なる部分もあって想像が広がる。長くなるので漢詩については省略。

ここからはそんな想像が広がった部分である。
其一:栄枯盛衰があること。
其二:善悪の行いが相応に報われる事について。
其六:是非について人がほめたりそしったりする事。
其十一:心にかなった生き方をするのをよしとする。
其十七:道を見失っても自然の道理にまかせていれば道も開ける。

中でも、其四で、「群れにはぐれた鳥が悲しく鳴いている中、常緑の松に出会い、帰りつくことができ、安住の地を得た」というのに、おぉっとなった。

というのも、雲深不知処では松を見かけ、雅室の扁額は「松風水月」だったはず。雲深不知処で安住した魏無羨を想像して、ホッとした次第。


『陳情令』、なんど見ても発見があり、興味がつきないものである。

 

 

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▼雲深不知処の松

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