第22話 己と戦え
商座長、弟子を育ててイイ話の回。
四喜児くらい小者だと安心して見ていられる。商老板は小周子に「人に頼るようでは永遠に見込みがないぞ。人生も他人任せで重要な役がやれるか」と言う。
娘親分・古大犁も見事懐妊していた。とはいえ認知を迫らず「匪賊の王 or 女王」にする気満々の、素朴で豪快な娘親分である。二旦那は笑っているが、跡継ぎを考えると姉には脅威なのでは……? 王夫人になっている時の真珠の首飾りは、ゴージャス姉さんのオマージュなのかな?
第一楼では商老板が「継母に殴打され~荒れ野に来て葦を摘んでいます」と歌って迎える。小周子は14歳。倒れ込み、舞台から駆けつける商老板。やっぱり空腹か。がっつく小周子に「君に似てるな」とニヤニヤ二旦那。無視していいと商老板。蔡先生は熊のようだが人気者だと。
周香蕓と名付けられる。香が入っているのは陳くんが入ってる? 禾に草冠が入っているのがポイントらしい。「よい役者を作るのは才じゃなく、芸事以外の何かから得るもので人それぞれです」と商細蕊。
水雲楼でもいじめられ、いじめられっ子気質になってしまっている小周子。そしてなぜいじめている君たちではなく、加わっていなかった臘月紅と勝負するんだ。
『梅龍鎮』「月の光が世を照らす。兵士さんはどちらにお住まいなの?」。「我が住む場所はこの天下」。
商老板は、いじめてくる相手には立ち回りで床にねじ伏せ、舞台への恐怖も、裸で帰らされるスパルタで磨き上げられてきていた。二旦那が止めなかったらそのスパルタが再現されたのか? 商細蕊に「図太いと言いたいようですね」と言われ、まんざらでもない表情で笑う二旦那。小周子を沙醤麺のお店へ連れて行く。オーダーは麺2つに肉多めで煮卵4つ牛肉2斤にモツ汁。
22話の京劇メモ
・王夫人:小周子が21話で唱っていた『玉堂春』の王金龍にちなんでいるのかな。
・継母に:『春秋配』三場の姜秋蓮の一節。小周子のテーマソング。
・熊:わざわざ熊を入れたあたり、なにかありそうなのだが、西遊記の黒熊の精?ハテナ。
・月の光が世を照らす・この天下:『梅龍鎮』一場。小周子が李鳳姐、臘月紅は正徳帝。2話で説明。
BS再放送22話感想
司令官の看板には「忠勇報国」の文字。
古大犁の匪賊の王な台詞に、漫画『ワンピース』の「海賊王におれはなる」をなんとなく思い出していた。
すると四喜児が小周子を見送って言った「死ぬも生きるも運命なのよ/是死是活都是命」は、黒ひげの台詞「死ぬも生きるも天任せよ/是死是活都是听天由命」にあるのだ!
この台詞に続く「恐れたやつが負けなのさ」は、商老板が説いていたことに似ている。科班は明代よりの京劇役者養成所。2022.1.追記
第23話「運命共同体」
小周子鍛えられるの巻であった。案外、二旦那と曹息子が良いコンビになっている回。
街頭での小周子へのリクエストは『四郎探母』「夫の言葉に全身から汗が」「私の放った言葉を許して」。一曲唱うだけでは煮卵2個分。『紅娘』「あの男子が婿になりたいと~容姿に魅了されました」。イケズな姜登宝は粉戯『大鬧銷金張』をリクエスト。逃げ足も速い。商老板に「どんな手で三夫人を、清音班の先生も濡れ衣で牢獄行きに」と言われており、あくどい事をしたんだな。
曹貴修のランニングに付き合う二旦那。運命共同体だと言う二旦那に、仏に祈っておけと言い放つ曹曹貴修。いつの間にか夫人の座の娘親分。意外と面倒見が良くて情が深いのね、曹くん。そして劉委員の元上官が安王の父親とは。
曹貴修が二旦那のグラスを取りあげ、葉巻を切ったところで、それを二旦那が取り戻し曹息子に火を付けさせる……そういう事態が起こるのだろうか? 「私はあなたの仏だな」と返している。曹親子のお風呂はお芝居なのかな? そう仕向けたのかな?
『潜龍記』初日。商老板が人力車に乗って劇場入り。四義弟も憎めないよなぁ。小来が愛好家を「冷めるのも早い。本当に怖い人たちです。あらが見えたりすれば、すぐに手のひらを返します。時に目の敵にしてくるからたちが悪い」と。原先生が兪青に化粧をしている姿も艶っぽい。
小周子の初舞台。男役の商老板が小周子にさとす姿は、侯先生と商細蕊のようで、こうやって芸が受け継がれていくのかと胸が熱くなる。すっかり小周子贔屓の四義弟、そういえば見い出したのは彼だっけ。商老板を越える女役になる……フラグじゃなければいいのだが。二旦那は舞台直前に手招きして「今日の全ては君にかかってる」「任せて」と言う商細蕊。
23話の京劇メモ
・四郎探母:一場「坐宮」鉄鏡公主の一節。遼に捕らえられた四郎は身分を隠して鉄鏡公主と結婚、母や弟が宋軍を率いて近くまで来ていると知り、束の間の対面を果たす。
小周子が身分を隠しているというあたりか。
・紅娘:三場「悔婚」の紅娘の一節。娘親分と曹息子かな?
・粉戯:淫靡な芝居。
BS再放送23話感想
今見ていると、店を出る前に商老板は店主に何か話をしていた。店主、演技派ね~。小周子のモジモジ具合が懐かしい。そして颯爽と現れる商老板がカッコイィ!言いつけてやる~な姜登宝はカッコワルイし、登宝走りだ。
MAGNATESの葉巻箱は、MARK IV MAGNATES CIGAR 20 CENTSと思われる。HOUSE of WINDSOR製かな? キューバ葉巻にはVegas Cubanas Magnatesというのもあり、この生産元がMy Father Cigarsで、こちらだったら「父親」で面白いと思ったがパッケージが異なっていた。
曹司令の「我が人生の唯一の汚点だ/老子最后悔的就是生了你个浑蛋」。大兵と赵卫国の『绝对真话』という相声(中国の漫才のようなもの)で、大兵【我这辈子最后悔的,就是生了你这个报应崽!】というのはある……。
劇場へと向かう人力車での商老板、沿道の人と握手してる、いいな~。兪青と原先生のやり取りも意味深ではある。二旦那が范蓮を蹴飛ばす姿に、皇上キック@瓔珞を思い出す。商老板と小周子の師弟の絆もいいなぁ。2022.1.追記。
第24話「しがらみ」
いよいよ『潜龍記』の公演! やや血生臭くなってきた回でもある。小周子くんも頑張れ。
皇帝衣裳の商老板。兪青はキリッとした感じの妃である。「ならぬ。すでに大勢は決した。余にどこに逃げよと言うのか」「余が自ら陣頭に立ち敵を殺してみせよう」。王秘書(宁浩然)は「命が大事」ともっともな事を口にしているが、劉委員はもう少し熱いものを求めているようではある。皇帝と陳妃を演じる姿に、安王母は、かつての光緒帝と珍妃のふたりを重ねて生きているのか。
客席は姜登宝が送り込んだイチャモン達が騒ぎ立て、舞台に上がろうとするが、商老板は槍をもちいて相手を撃退している。
すると曹くんあらわれ、劉委員と会い、密談中。曹貴修は15歳で士官学校に入り日本へ、18歳でソ連に留学し、270軍第1師団の師団長。
「四方から賊軍が攻め込み、陳妃様は悲嘆に暮れ自害を」「なんと」。四義弟は「上手な素人役者もたくさんいるが、いざ舞台に立つと何かが足りない」「商老板の女役はどの流派とも言えず、耳触りがよくて味があるから女役のほうが人気」と語っている。ワタシも商老板の女役が好きよ。
一方、舞台裏には四喜児があらわれ、小周子を連れ帰ってしまう。
安王母もみまかり、劉委員は寧九郎と商細蕊が演じた『鉄冠図』について語る。寧九郎が皇帝役で商老板と共演とは、見てみたかった。「身を粉に骨を塵に/ 骨化飛塵」のくだりで陛下は涙を流したが、観客を気にしないと言う商細蕊。
忍びの者のように屋根から忍びこむ商老板。なんでもできるな。
寧九郎のことを聞かれ「天才の考えなどわかりませんよ」と答える商老板。寧九郎は商老板の年季明けの宴をしてくれていたようだが、気づいていなかった様子の商老板。故郷の平陽を離れる時も「高みにのぼれて嬉しい」と返す商細蕊に「やはり天才は違う」と二旦那。ふたりぴったりくっついて話していないか。
商先生は武生育ちだから立ち回りもカッコイィのね。でも商先生の女役姿が誰よりも美しいので、やっぱり女役で見たい。寧先生のところをふたりで訪ね、いよいよ共演か!? ふたりの距離が近くて楽しく終わる。
24話の京劇メモ
・陳妃様は悲嘆に暮れ自害を:『潜龍記』。杜洛城作の光緒帝と珍妃をモチーフにした物語。
・鉄冠図:李自成に城をとられた崇禎帝・長平公主の敵を討つため、宮女の費貞娥が公主に扮装して嫁ぎ、虎(李過)を刺し自刃する。「身を粉に」は『刺虎』の費貞娥の一節。費貞娥は明代末の有名な女刺客。寧九郎は崇禎帝役かな。
BS再放送24話感想
劇中の珍妃の言う「忠王の子はいかがでしょう?」の忠王は、醇親王の事なのかな。光緒帝の腹違いの弟。とも思ったが、溥儀は西太后が指名しており、その頃には珍妃は亡くなっていた。四喜児に真っ先に殴りかかるのは十九なのね。
先週末に突然、黄暁明と楊穎がそれぞれの道を歩くことになったとの一報が入る。あの華やかな結婚式から7年なのね。。。美男美女カップルでお伽話のようだったのだけれど~。商老板ならどんな反応をするのか想像してしまうのは、ドラマに入りこみすぎかしら。2022.1.31追記
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