笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」・「魔道祖師Q」・小説/アニメ「魔道祖師」の感想や考察を綴っているブログです。「愛なんてただそれだけのこと」「宮廷の諍い女」を更新中。⇩カテゴリー選択はスマホでは左にフリックしてください。

君、花海棠の紅にあらず48話 感想と京劇/考察 杠子,オペラ ドン・カルロより

BS再放送を見て、気付いた小ネタを記事で追記にあげており、そこで連想も広がっている。そろそろドラマも後半に入ってきたので、BS再放送前にはと今回、あげてみた。

48話 憂い

七坊ちゃんは桃ちゃんに足をトコトコされてる。薛社長と七坊ちゃんが玉のれん越しに語る場面もしみじみしている。七坊ちゃんの杯の持ち方が粋ね。薛社長は伝書鳩……。

そしてわちゃわちゃ出てきた噂の薛大奥軍団は、第9夫人までいるのだ。美人揃いなのはさすがというべきか。薛社長が千代をかばっている…と思いきや、薛大奥は、心の正室・七坊ちゃん共々、4台の車で北平脱出を計っていた。ご無事で~~。前回、薛社長が商細蕊を連れて程邸へ乗り込んだ時も、車が次々に並んでいたような。

二旦那につきっきりで体をもむ商細蕊は、16歳の小周子に水雲楼の印章を渡す。乾坤袖のようにスルリと出てきた印章。小周子が商老板に叩頭するのは、六月紅を思い出すなぁ。あちらは破門だったけど、こちらは師を受け継ぐ

水雲楼に造反組も出てきたが、小周子が身につけた商家棍法で叩きのめしている。棍法も受け継がれているのが頼もしい。印章を奪い取ろうとするのは、六月紅師姉の腕輪を思い出すから、やはしあの辺りを踏襲しているのかな。頑張れ、周老板。


商細蕊が二旦那のベッドの上が定位置なのもスゴイな。突然、コオロギを探し出す商細蕊。コオロギ好きなエピソードはあったかしら? 夢みるような瞳で白い息を吐く商細蕊。二旦那の胸元にあるのは作り物のコオロギなのか??

二旦那は良くなる気配もない。将校が程邸へやって来て、不穏な商細蕊……と思いきや、やってもうたか! 程美心と共に現れているのがミソか。姉君、そそのかしたね。しかも将校、「面白い奴だ」ってなんの台詞なんすか。「殺せば義士になる。梁紅玉にさせるものか」って……。

九条弟くん、擁護しているけど、正直、これは将校の方が分があるやろ。と思っていたら、獄中の老弦児はちゃっかり楽器も持っていて、商細蕊も「この世の全てには定めがある。その定めには何人も逆らえぬ」と唱ってるし。しかも老弦児、「悔いはない」と息絶えとるし。

このあたりの急な展開には正直、付いていけなかったが、九条弟くんがわざわざ言っていた「スペイン大使の接待」に鍵があるはず!「一生あなたは九条家の臣下だ」も気になる台詞で、元ネタはなんだ。しかもこの背後にある視力検査の文字が「西 月火 女王山天」とらしからぬ文字。

牢獄での時間は10時すぎ。牢獄でも大人気な商老板。九条弟くんにごしょごしょと耳打ちする商細蕊が、こんな時でも可愛い。「商細蕊が恩に着る」とちょこりんとお辞儀するのも可愛いのコンボ。一連の凄絶な中にも無垢な輝きがあり、美しいと思うのはなんなんだろう。

世論が動き、坂田大佐も手が出せない。大佐と対峙する商老板は、レクター博士ハンニバル感がある。そういえば商老板はお肉好き……?(←意味がチガウ) 春杏は「馬に蹴られた杠子を呼び戻した」と奥方に言う。時々映るヴェネツィアのカーニバルっぽぃ6体の人形とアルテミス像も気になる。

今回も目覚めない眠れる二旦那。

次回は最終回。どうやって終わるんだ? ハッピーエンドもありうるのか?


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48話の京劇メモ

コオロギ:原作ネタであるらしい。また『ラストエンペラー』のラストでコオロギが出てくる。

・梁紅玉:『戦金山』の女主人公。

・その定めには何人も逆らえぬ:この台詞は劇本にはなくなっているらしいが、元は『長坂坡』原本二場の、劉備趙雲の裏切りを信じない場面の唄のはず。二旦那が46話で自ら述べた趙雲(二旦那)の阿斗(古大虎)救出の戯曲である。つまり商細蕊が程鳳台を信じているという意味で唱っていると思われる。同じ台詞は『奪太蒼』にもある。

杠子槓子(カンツ)。劇中では人名だが、麻雀で同種類の牌を4つ揃えることも言う。カンで上がる役には、「嶺上開花」という役もあるらしい。京劇『打杠子』もあるがこちらは喜劇。

15話を見ていて、匪賊の牢に閉じ込められている范漣が二旦那に「守護神が獄神に」と言っているのを聞いて、ふとこの牢獄入りした48話を思い出した。姜会長が商老板を破門する辺りが、この坂田との一件と対になっているのだろうか? 

 

48話とオペラ『ドン・カルロ

48話で雪之誠が「スペイン大使」と言ったので、監獄のあたりはスペイン題材のオペラだろうとあたりを付けて考えたのが、ヴェルディ作のオペラ『ドン・カルロ』。

このオペラ『ドン・カルロ』第一幕のフォンテンブローの森では、主人公のドン・カルロ(曹貴修)が思いを寄せていた女性であるエリザベッタ(程美心)が父フェリペ二世(曹司令)と結婚し継母になるという、どこかで聞いたようなお話なのだ! 結婚したのは史実であるが、恋仲ではなく脚色である。この第一幕が省略されているものもある。

そしてどうにも気になっていた20話で曹司令官が二旦那に渡したお土産の「ブラジルのタバコ」。タバコと言えば、タバコ工場で働くカルメンを思い出すが、あれはセビリアでどうしてもブラジルとは結びつかない。フェリペ二世統治下、スペインは「太陽の沈まぬ国」と言われ、もちろんブラジルも統治下だった。深読みしすぎかもしらんけど。気になっていた6体の人形には襞襟も付いているので登場人物だったりしないのかな……。

ドン・曹くんの話は少し置いておくとして、この『ドン・カルロ』はカソリックのスペインが、プロテスタントのフランドル弾圧することも描いてもいるのである。『君花海棠』ではしばし世界の内乱も劇中小ネタで取り入れられている。


気になった老弦児だが、再放送でじっくり見直していると、老弦児はそもそも1話の妓楼で商老板と共に登場しており、また10話や14話にて劇場外で商老板に合わせて唱っていたのが、この回では商老板の演奏をしており、本懐をとげていたのが大きいようではあった。二旦那が昏睡状態となった留仙洞へのきっかけを作ったのもまた彼なのである。

第三幕の牢獄場面での「死の時がきた、でも心は幸せだ」あたりが老弦児のパートなのだろうか。そして亡くなってしまったのも、老弦児は西太后の前で演奏していたらしい清朝時代の人物でもある。それがここで亡くなる事で、清朝的なものの終焉という 皇帝なのか京劇なのかは分からないが、その後の歴史も描いているのかなと思わないでもない。

またドン・カルロにはロドリーゴという裏切ったかと思いきや身代わりになる友がおり「友情の二重唱」という歌もある。商細蕊を窮地に陥らせた為に損な役回りであった雪之誠くんだが、最後まで商老板を助けようとしていたので、私の中ではロドリーゴ・雪之誠と呼んでいる。


商細蕊が歌う「この世の全てには定めがある」は、エリザベッタが歌う有名なアリア第四幕「世のむなしさを知る神」に相当するのだろうか。

となると、ここでのドン・カルロドン・程鳳台となり、オペラでは来世での愛を歌う。ラスト、ドン・カルロは少し不思議な最期でもあるのだが、それは置いておくとする。

ついでに言うと、ドラマ冒頭ではエリザベッタであった程美心だが、中盤からは嫉妬して陥れようとするエボリな役になっていった気もする。原作では後半に描かれた程美心が本来の彼女像のよう。

原作小説での監獄

48話の感想と京劇自体は、前回放送時に書きあげていたのだが、このオペラの部分をどう取り入れるか考えて置いておいたもの。

ちなみに原作小説第131章でこの場面に当たる箇所をざっと見たが、特に雪之誠はスペイン云々と言っておらず、老弦児の場面もなく、そもそも原作には程美心と曹貴修のロマンスもない。その代わりに、原作小説の商老板は取り調べで「程凤台是我的老婆,你们逼他走货,害他重伤,杀妻之仇」と言っていた……。訳さなくても漢字でわかる日本人。
なのでこれはドラマのみの解釈である。

それでもドラマは牢獄での商細蕊の凄惨さと至純が美しく印象に残る場面である。

 

 

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